氷点下10度を下回る中、夕日を背にして豆腐を屋外に並べる小林豆腐工房の関係者=25日午後4時50分ごろ
このところの厳しい冷え込みの中、長野県の諏訪地方では寒さを利用した特産物の生産に追い風が吹いている。八ケ岳の麓、茅野市湖東大石の小林豆腐工房(小林哲郎代表)では、伝統の「凍み豆腐」作りが順調。西の山並みに夕日が沈み、寒さが一段と増す頃、切り餅状の豆腐を屋外に並べる作業が行われている。
凍み豆腐づくりは、湖東白井出の男性が和歌山県高野山で製法を学び広めたのが始まりという。「一夜凍り」といわれ、一晩寒風にさらして凍ったものを翌朝取り込む。わらでくくって売り歩く行商も盛んだったが豆腐屋と共に次第に衰退した。
小林代表(71)は県外出身だが、妻の両親らに技術を学び13年前に夫婦で豆腐店を復活。凍った状態でビニール袋に入れて冷凍保存するのが特徴で、乾物には無いなめらかな口当たりで、煮物や揚げ物にも合い、地元や、郷里を離れた人の注文も多い。同市宮川小学校では毎年、郷土の食材として給食に取り入れる。
同工房は、今季の生産を昨年12月3日に開始。1日に作れるのは約360枚だが、40日間で前年同時期の2倍が出来上がった。小林代表は「まだまだ作れる。冷凍技術は進化したが自然の恵みがもたらす手作りの味が喜ばれるよう」と話す。
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