どぶろくを活用した新企画について説明する関係者ら
長野県伊那市高遠町西高遠の鉾持神社は酒造会社・仙醸(同地区上山田)と協力し、2月11日の祈年祭とだるま市でどぶろくを参拝者に振る舞う。初の試みで、社務所でどぶろくの材料「酒母」を仕込み、同社で酒に仕上げる。神事に欠かせない「酒」を切り口に地域の神社について広く知ってもらい、にぎわいづくりや神社の継承につなげたい考えだ。
鉾持神社は721(養老5)年の創建で、2021年には1300年を迎えた。高遠城の守護神として、歴代高遠藩主の厚い信仰を集めた。
近年は過疎化に伴う氏子の減少、総代の高齢化をはじめ課題が多く、打開策を模索する中で今回のアイデアが持ち上がった。どぶろくは日本では豊穣祈願に供える風習があり、現代でも祭事として残る地域があることなどから企画に取り入れた。
氏子だけでなく、神社を応援してくれる人を幅広く掘り起こす取り組みにつなげ、恒例行事化も視野に入れる。同神社は昨年12月に酒母の製造免許を取得した。
2月3日に、元神社委員で仙醸社長の黒河内貴さん(46)の指導で総代らが酒母をつくる。酵母の添加や発酵を経てどぶろくに仕上がるという。材料の米、米こうじ、水は市内産を使用する。製造量は72リットルを見込む。
27日に社務所で関係者が報道陣に概要を発表した。神主の伊藤光森さん(49)は「神社に興味を持ってもらい、氏子には改めて関心を持ってもらう最初のきっかけになってほしい」と話していた。
黒河内社長は「どぶろくの取り組みで良い循環ができると思うので、とても楽しみ」と期待。総代会長の井出竑さん(78)は「今は高齢化や財政状況など厳しいところもあるが、参拝者を増やす取り組みを考えていきたい」と話していた。
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