人が立ち上がる際の労力を補助するパワーアシストスーツの仕組みを説明する関係者=伊那市役所
長野県伊那市は20日、人の身体機能を補助する「パワーアシストスーツ」を活用した健康増進事業に着手した。同スーツは着用してリハビリやトレーニングを繰り返すことで、立ち上がれない人が立ち上がれるようになるなどの身体機能を高める効果がある。市は来月から開始する運動プログラムの参加者を募集する。
市が導入したパワーアシストスーツは、自立支援機器などを開発、製造するサイバーダイン社(茨城県つくば市)製の「装着型サイボーグHAL(ハル)」。腰に装着するとセンサーが脳から脊髄を通って筋肉に伝わる微弱な電気信号を読み取り、立ち上がる動作を感知した場合、スーツに内臓したモーターが立ち上がるための力を補助する。
同社の実証実験では、高齢者などが継続して着用してリハビリを3カ月間ほど続けると、脳が立ち上がる動きを再学習し、スーツを装着しなくても立ち上がれるようになり、歩行が可能になった事例もあるという。
事業は今年度から4年間の期間で実施し、総事業費は約1億円。全体の95%を国、5%を市が負担する。
健康増進事業は、市が委託した丸紅伊那みらいでんき(伊那市)が実施。市民向け運動プログラムは先着で5人を募集し、11月1日から週2回(火、金曜日の午前中)で計3カ月間、伊那市のいなっせやエレコムアリーナで開催する。募集するのは、おおむね60歳以上で、加齢と共に足腰の弱まりを感じている人。
伊那市役所で同日会見した白鳥孝市長は「パワーアシストスーツを着てリハビリをすると、身体機能が改善するという点に期待したい。体の機能不全を諦めていた人にとっては希望が持てる。必要に応じてスーツの数を増やしたい」と述べた。
丸紅伊那みらいでんきの肥沼光彦社長は「アシストスーツを使った将来的な事業モデルの構築を目指したい」と話した。スーツは介護に携わる人の腰の負担を軽減する目的で開発した経緯があり、実証実験では介護をする家族や介護職員への装着体験も行う。
運動プログラムの問い合わせは肥沼さん(電話070・4921・9871)へ。
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