中アでのライチョウ保護増殖事業などを紹介した公開シンポジウム
絶滅の恐れがある国特別天然記念物ニホンライチョウの研究成果などを報告する「第20回ライチョウ会議長野県駒ケ根・宮田大会」(実行委員会主催)が、9日から3日間の日程で始まった。初日は駒ケ根市文化会館を会場に公開シンポジウムを開き、専門家がライチョウの魅力や中央アルプスでの保護増殖事業などを紹介。県内外の約300人が聴講し、ライチョウの生息地として復活を目指す中アの将来について考えた。
ライチョウの保護を目的に、生息する地域の関係者や一般住民、研究者らが集い、最新の研究成果や取り組みを報告する全国大会。当初は2020年3月の中ア国定公園指定を記念して昨年10月に大会を計画していたが、新型コロナ感染拡大の影響で1年延期した。県内では6年ぶり6回目の開催。中アの関係自治体では初めて。
シンポジウムでは「ライチョウを通して中央アルプスの自然を学ぼう」をテーマに、環境省信越自然環境事務所の小林篤さんと元神戸大学教授で宮田村教育委員の伊藤一幸さんが講話した。
小林さんは、18年に中ア駒ケ岳で約50年ぶりに雌のライチョウ1羽が確認されたことをきっかけに始動した「ライチョウ復活プロジェクト」について説明。飼育個体の野生復帰やケージ保護、捕食者の捕獲など、個体群復活に向けたさまざまな取り組みを紹介した。
今年の事業成果では「昨年と比較してライチョウの縄張りが倍に広がり、既に中ア全域に80羽以上は生息している」と報告。「調査精度の向上につながる登山者からのライチョウ目撃情報も増加している」とし、中アにおける保護増殖事業のさらなる周知と進展を期待した。
ライチョウ研究の第一人者としてコーディネーターを務めた信州大学の中村浩志名誉教授は「日本のライチョウは極めて貴重。山に登って出合える環境を作るため、協力をお願いしたい」と訴えた。
10日午前10時からは同館を会場に専門家会議を開く。研究者が生息状況の調査結果や動物園での飼育経過などを報告する。参加無料で当日受付も可。問い合わせは宮田村産業振興推進室(電話0265・85・5864)へ。
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