柴舟を担いで垂直に立てた生木の周囲を3周する住民たち
長野県箕輪町南小河内に伝わる厄よけ行事「おさんやり」(町無形民俗文化財)が16日にあった。コロナ禍の中、規模を縮小しながらも伝統行事を絶やすまいと実施。住民らが全長約10メートルの柴舟を担いで巡行し、無病息災や地域の安寧を願った。
柴舟は全長約10メートル、高さ約4メートル、重さ約400キロ。住民たちが13日に、カラマツやナラの木でこしらえた土台に、舟に見立ててササを巻き付け作製した。コロナ禍とあって区内全域での巡行は取りやめて、消防屯所付近を発着点に往復150メートルを練り歩く形で行った。
男性約20人が柴舟を勇壮に担ぎ上げて出発、屯所前に戻ってくると、垂直に立てた生木の周囲を3周。柴舟を地面にたたき落として、打ち壊した。破片は厄よけのお守りとして住民に配った。
おさんやりの起源は定かではないが、盆行事として200年以上受け継がれている。江戸時代に、天竜川と逆方向に流れる区内の水路「大堰」を介して疫病がまん延した際、舟に見立てたみこしで清め流したとの説もある。
区や公民館分館などでつくる同区盆祭実行委員会の倉田祐二会長(66)は「どんな形でも継続し、地域の安全を祈願したいとの思いで実施した。伝統行事を絶やさないようにしたい」と誓っていた。
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