長野放送
長野県茅野市で起きた土石流災害から5日で一年。復旧は道半ばですが住民は、けが人を出さずに済んだ経験をかみしめ防災意識を改めて高めようとしています。
茅野市宮川の高部地区を流れる下馬沢川。川沿いでは盛んに災害復旧工事が行われています。あれから1年、復旧はまだ道半ばです。
去年9月5日夜、大雨により下馬沢川上流で土石流が発生。住民同士の呼びかけによる早い避難で、けが人はいませんでした。
しかし建物の被害は大きく、住宅9棟が全壊、69棟が浸水被害に遭いました。
住民(当時):
「もう、あ然しかない。もうここに帰ってこられないと思うとせつない」
住宅街より上流では今も工事が続いています。県が2024年度内に設置を目指す砂防えん堤は、高さおよそ12メートル、幅およそ120メートルに及びます。
一方、住宅の復旧が進み暮らしは落ち着きを取り戻しつつありますが、いまだ3世帯が避難生活を続けています。
こちらは地区内の事業所・信州サーモンなどを扱う食品加工卸業の「ベルーフ」です。
ベルーフ・木津南社長(去年12月):
「生きている魚をさばかないとおいしくないので、生かしておくのに水が必要」
ベルーフは仕入れた信州サーモンをいけすで保管していました。しかし土石流によって取水口や地中の土管に土砂が埋まり、水が来なくなりました。
木津さんは下諏訪町の自宅近くの川から水を運び入れ、急場をしのいできました。
今年4月、およそ7カ月ぶりに用水路が復旧。しかし、上流の工事の影響で水が濁り時折、魚が死ぬことがあると言います。
ベルーフ・木津南社長:
「すぐには流れたからといって、いいというわけではない。早く普通に戻してほしい」
高部区・小林洋一区長:
「こっちの1工区、2工区が(下馬沢川の)護岸の整備をしている」
節目を前に、4日の防災イベントでは災害直後の写真や倉庫に備蓄する非常食が展示されました。
住民のつながりの強さで人的被害を免れた地区。防災意識を改めて高めようとしています。
住民:
「もし同じことがまた起きた時に冷静に対応できるよう参加しています」
高部区・小林洋一区長:
「1年前のような土砂災害は二度と起こってほしくないけど、本当の非常時に区民の皆さんに(公民館の)蓄えている備品を覚えてもらって、防災意識を高めていただきたい」
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