先輩が育てたカワニナを水辺に放つ上農コミュニティデザイン科里山コースの2年生=25日午後、箕輪町三日町のビオトープ「かまくらざわ生きものの里」
上伊那農業高校(長野県南箕輪村)コミュニティデザイン科里山コースの2年生は25日、箕輪町三日町上棚のビオトープ「かまくらざわ生きものの里」で、同コースの先輩たちが育てたホタルの幼虫の餌となるカワニナ111匹を放流した。3年生になると携わるホタル復活事業の前準備で、校内で養殖された稚貝を水辺に放した。
毎年度の同コース3年生は、南箕輪村大泉地区で住民有志が進めるホタル復活事業に協力。昨年度にはカワニナを大泉川左岸の試験水路に放ち、越冬にも成功した。今年度からは生きものの里で捕獲したホタルの成虫を校内で人工飼育し、産卵、繁殖させる取り組みも始めた。
この日の放流には2年生15人が参加。極小の稚貝を手に取り、丁寧に作業した生徒は「光ることは知っているが、本物のホタルは今まで見たことがない。先輩から受け継いで、普通に気軽に触れられる環境を復活させて次の世代に伝えたい」と話した。
生きものの里自体も以前に比べてホタルの個体数が減っているといい、このビオトープの所有管理者で同校元教頭の藤澤昭二さん(69)は「環境のバロメーターでもある生物復活の取り組みに、生徒と一緒に協力し合えるのは幸せ」と目を細めた。
今年度の3年生は雌雄の成虫を捕獲する難しさを知り、人工飼育は来年度以降にお預けとなったが、ホタルの発生場所や時期、捕獲方法など基礎データを蓄積。繁殖に向けた取り組みは後輩に引き継がれる。
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