職人が神前でそばを打った奉納祈願祭
長野県伊那市高遠町の高遠そば組合は8日、江戸時代の高遠藩が将軍家に献上していた寒ざらしそば「暑中信州寒晒蕎麦(ざらしそば)」の奉納祈願祭を同市の高遠閣で開いた。1722(享保7)年に献上が始まり、今年で300年になる節目に合わせて企画。神前で打ったそばを奉納し、寒ざらしそばの普及などを願った。
同組合は伝統的な製法の寒ざらしそばを2013年に復活させ、提供を続けている。ソバの実を小寒から立春まで水に浸し、寒風で乾かすことで上品な味わいになるという。同藩は将軍家への機嫌伺いとして献上していたとされる。
高遠閣内の祭壇で神職が神事を執り行い、そば粉を奉納。組合長の守屋豊さん(69)=ますや=、副組合長の山根健司さん(56)=壱刻=と小松貴志さん(43)=華留運=が「こね」「のし」「切り」の工程でそばを打ち、完成品を改めて納めた。
伊那市民ら約50人も参列。同組合が振る舞う寒ざらしそばに舌鼓を打った。西澤とよ子さん(72)=高遠町=は「コシがあっておいしい。さっぱり食べられる」と喜んでいた。
守屋組合長ら3人は「高遠にそばの店が増え、地域の農業や観光への波及効果を期待したい」「そばと一緒に、そばに親しんできた地元の歴史を伝えたい」「皆さんに知ってもらい、食べてもらうことで伝えていきたい」と期待していた。
10日は、旧高遠藩主の内藤家にそばを贈る献上式を東京都で開く。23日からは高遠町にある七つのそば店で寒ざらしそばの提供が始まる。
[/MARKOVE]