オープンした「小さな泊まれる廻舞台mawari」。吹き抜けと大きな窓があり、開放感も抜群
古材や古道具のリサイクルショップ「リビルディングセンタージャパン(リビセン)」(長野県諏訪市小和田)が、農村歌舞伎の舞台として江戸時代に造られた岡谷市湊の建物を改修し、一棟貸しの簡易宿泊施設としてオープンさせた。宿の名前は「小さな泊まれる廻舞台mawari」。重厚な材や味わいのあるたたずまいを生かしつつ、気軽に泊まれる宿へと造り替えた。
江戸時代後期の1850(嘉永3)年に茅野市玉川の菊沢区に建てられた建物。回り舞台を備え、地区の公民館としても使用されていた。40年前、解体されることを新聞記事で知った所有者の花岡茂雄さん(75)=岡谷市湊=が、ギャラリーにしようと現在の場所に移築保存した。
骨董品などを置く場所として使用していたが、次第に「建物を生かしてくれる次世代に引き継ぎたい」と考えるように。古材や建具の再利用を提案するリビセンの東野唯史社長(37)に相談したところ、「建物にポテンシャルを感じる。何とかしたい」(東野社長)とリノベーションが決まった。
外観やはりには可能な限り手を加えず、歴史ある古い建物の雰囲気を生かした。床面積は約150平方メートル。1階に開放感のあるリビングやキッチン、吹き抜けになっている2階には寝室と読書スペースを設けた。諏訪地方の温泉を楽しんでもらおうと、浴室はシャワーのみ。花岡さんが所有する家具や照明などを配置し、趣を演出。冷蔵庫などの家電や調理器具、調味料なども完備している。
宿は諏訪湖を望む高台にあり、晴れた日には八ケ岳連峰を一望できる。「この建物を拠点に諏訪地方を楽しんでもらいたい」と花岡さん。イベントスペースやギャラリーとしての利用も検討しているという東野社長は「残さなければいけない建物。いろんな人が気軽に利用できる場所になってほしい」と願っている。
貸し出しは1日1組限定。定員は大人5人。料金は1人1万円から。チェックインは午後3時からで、チェックアウトは午前10時。冬季(12月~3月)は営業しない。運営はマスヤゲストハウス(下諏訪町)が担う。
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