登山客や家族連れらでにぎわう入笠山山頂。夏山シーズンが幕を開けた=28日午前10時すぎ、伊那市・富士見町
長野県伊那市と富士見町にまたがる入笠山の安全祈願の神事が28日、御所平峠近くの登山口で行われ、本格的な夏山シーズンが幕を開けた。晴れて名峰が見渡せる一日となり、標高1955メートルの山頂は県内外の登山客や家族連れらでにぎわった。秋にかけて150種の山野草が楽しめる「花の宝庫」として知られ、間もなくスズランやコナシの花の季節を迎える。
一般登山者も参加する開山祭は3季連続で中止とし、両市町とJA上伊那、入笠山旅館組合でつくる入笠山観光連絡協議会の役員で神事のみ実施。玉串をささげて安全とにぎわいを祈願した。
会長の名取重治町長は「にぎやかな開山祭ができず残念な思いはあるが、花が美しい季節を迎える。感染対策をしながら社会経済活動を再開する段階。大勢の方が訪れてほしい」とあいさつ。白鳥孝市長は取材に、「360度の大展望や亜高山帯、湿原の雰囲気。四季折々、いろいろな楽しみ方ができるのが入笠山の魅力」と話した。
天候にも恵まれて大勢の人が山頂を目指し、爽やかな風を浴びながら富士山やアルプス、八ケ岳、諏訪湖の眺めを満喫。初めて登ったという女性3人は「景色が最高。また登ります」と笑顔だった。富士見町によると、密を避けられるアウトドアレジャーの人気の高まりもあり、昨年度の入り込み数は前年比41.2%増に。町側の沢入登山口駐車場はこの日午前8時ごろには満車となり、同市側の大阿原湿原にも大勢のハイカーの姿が見られた。
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