「信州こどもホスピスプレハウス」の開設に向け改修が進む駒ケ根市内の空き物件
病気になった子どもたちとその家族に自分たちらしく過ごせる場を―。長野県松本市を拠点とする任意団体「信州こどもホスピスプロジェクト」は、闘病中の子どもと家族が共に過ごす「こどもホスピス」の開設に向けた活動を展開している。病院併設の施設ではない独立型のホスピスは全国的にも数少なく、県内では初の取り組み。その第一歩として日帰り利用が可能な「こどもホスピスプレハウス」が駒ケ根市内に開設される見通しとなった。関係者は今夏の稼働を視野に地元医療・福祉関係者との連携や建物の改修など開設の準備を進めている。
同プロジェクトは団体の代表を務める白鳥信博さん(51)が、難病で最愛の息子を亡くした経験をきっかけにスタート。白鳥さんの長男佑樹さんは2019年2月、悪性脳腫瘍小児脳幹部グリオーマと診断され、余命宣告を受けた。1年以上にわたる闘病生活を経て、最後は自宅で看取ることを決断。20年9月、家族に見守られながら19歳2カ月の生涯を閉じた。
「最後に家族全員で過ごせたのは良かった」と振り返る白鳥さん。一方で闘病中に「もっとしてやれることがあったのでは」と悔やむ気持ちもあったといい、佑樹さんの死後、深刻な病と闘う子どもたちとその家族を支援するプロジェクトを立ち上げた。
団体が目指すのは病気の子どもとその家族が一緒に気兼ねなく過ごせる時間の提供。病気で学びや遊びが制限される子どもたちが楽しめ、日ごろ献身的に看病している家族には休息の場となるように必要な支援を行っていく。
団体のメンバーは活動の趣旨に賛同する福祉、医療関係者など10人。活動のモデルケースとなるプレハウスの設置を検討する中、メンバーを務める知人から協力を求められた宮澤京子さん(62)=駒ケ根市市場割=が、同市上穂栄町にある空き物件を無償で貸し出すことになった。
「最後に残された時間を家族全員で過ごせる場所が必要。病院でも自宅でもない場所で、良い時間を過ごすことができれば」と白鳥さん。駒ケ根市での取り組みを振り出しに県内全域へホスピスを普及させ、将来的には終末期の子どもたちを受け入れられる体制の構築を目指している。
同団体ではインターネットを通じて資金を募る寄付プラットフォーム「Syncable(シンカブル)」を通じて毎月定額の支援を行うマンスリーサポーターを5月13日まで募集している。目標は50人。このほか活動への寄付を随時受け付ける。問い合わせは白鳥さん(電話090・5516・0723)へ。
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