上伊那産米を手に写真撮影に応じる新宿区の吉住健一区長と白鳥孝市長(右)=伊那市役所
長野県伊那市と友好提携都市を結ぶ東京都新宿区は、5月から同市を中心とする上伊那地域の農産物を、区立の小中学校と特別支援学校計40校の給食用食材として活用する。30日に市役所で会見した新宿区の吉住健一区長は「伊那市の野菜や果物、米を使った給食を子どもたちに提供することで、食の安心安全を確保し、食育にもつなげたい」と期待した。
新宿区は現在、区内で購入した農産物を給食用食材にしているが、保護者からは外国産や遺伝子組み換えなどの食材に対する抵抗感が根強く、食材の安全性を求める声が多かったという。一方、区ではこれまで年3回行った伊那市産の農産物を使った給食の提供で、児童生徒の食べ残し量が少ない傾向に着目。子どもたちの「野菜がおいしい」という声を受け、伊那市内の学校給食でも使う上伊那産農産物の恒常的な活用を検討していた。
区は購入のための予算3975万円を計上。農産物は伊那市とJA上伊那が連携して注文窓口となり、区内の29小学校、10中学校、1特別支援学校へ配送。児童生徒約1万2800人分の給食に活用する。区は全校自校調理方式の給食を提供。各校が献立に応じて必要な農産物をJA上伊那へ発注するという。
会見で吉住区長は「伊那市へ来るたびに農産物をいただいているが非常においしい。伊那の食材を使った給食は子どもたちの評判もよく、活用を具体化した」とし、「食材提供の縁を、将来区民が伊那市を訪れる交流のきっかけにしたい」と述べた。
白鳥市長は「伊那市の農産物は安心安全に力点を置いて栽培し、寒暖の差が作用して味が良い。今回新宿区へ供給できてありがたい。お子さんたちには伊那で農業も体験してほしい」と呼び掛けた。
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