こよりを足しながら数人がかりで撚り上げていく下諏訪町四王地区の伝統的な綱打ち=下諏訪町の四王公園
長野県下諏訪町第三区の四王地区の綱打ちが11日、本格的に始まった。同地区は秋宮一之御柱の元綱(女綱)を担当するのが伝統で、自分たちで育てた稲わらを用い、一から撚る手法を継承している。この日は住民約100人が四王公園に集った。やぐらを組み、数人で「せーの」と声を掛け合いながら綱をしっかりと締め上げていった。
四王の元綱は完成すると直径約30センチ、長さ30メートル余り、重さ1トンにもなる。わらを数本まとめた「こより」を、ロープを芯にしながら重ねて基本となる3本の綱を作り、最後に1本に撚り上げる。
わらから綱を手作りする技術は 以前は他地区でも行っていたが途絶え、現在まで受け継いでいるのは四王地区だけ。1950(昭和25)年からこの伝統を守り続けている。 使用するわらは、住民有志でつくる「四王藁の会」が区内の田んぼで育てた2年分の稲わら約3000束。丈が長い品種「セキトリ」を使うのもこだわりだ。
綱打ちの準備は10日から始め、13日まで3日間かけて完成させる。素手でわらを引っ張るので、手の握力を奪われる重労働。四王御柱祭祭典委員会の小林清一委員長(76)は「この伝統技法で綱を作ることは四王地区の誇り。四王の魂を練り込むように打ちたい」と話した。
山出しの曳行が中止となったため、完成した元綱で曳くことはできない。小林委員長は「非常に残念。それでも、綱打ちを実際にやることで若い人に技術を覚えてもらいたい」と先を見据えていた。
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