育てたアイガモとの別れを惜しむ高遠小の児童たち
無農薬で米を作る「アイガモ農法」に取り組む長野県伊那市の高遠小学校5年生が7日、育てたアイガモとのお別れ会を開いた。稲作と畜産を合わせた栽培法で、命の恵みに感謝していただく試み。児童34人はおよそ10カ月かけて食と命の大切さを学び、8羽を手放した。
総合学習で米を作ろうと、4月に児童からアイガモ農法の案が浮上。卵を温め、ひなのふ化にも成功した。小さな命に愛情を注ぎ、餌やりや掃除などの世話を分担。害獣よけの網も設置したが外敵に襲われ、半分近くを失った。
「最後まで責任を持って見届け、食べてあげたい」「寿命まで飼わないとかわいそう」。田んぼで働いたカモを食べるかどうか意見が対立し、悩み続けた子どもたち。話し合いは20時間を超えた。県内の動物園やジビエ料理店から家畜の意味や調理法について学び、食すことを決断。関係者が食肉にし、20日ごろ、児童が調理していただく計画という。
最後の日を迎え、児童はアイガモと触れ合い、別れを惜しんだ。学校のプールで泳がせたり、名前を呼んで抱き締めたり。涙声で感謝の思いを伝えると、カモは「グワーグワー」と激しく鳴いた。
児童は「おいしくいただくことで、カモも喜んでくれるはず。食べて終わりではなく、自分の体で生き続けると思う」。担任の宇津大地教諭(42)は「『いただきます』の本当の意味に触れる体験となった。生き物の命をいただく感謝の気持ちを忘れないでほしい」と話した。
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