長野県の消防防災ヘリ「アルプス」
9人が死亡した長野県の防災ヘリコプターの墜落事故から5日で5年。この春で退任する航空隊の隊長は「安全への心がけに終わりはない」と話し、事故の教訓を隊員たちに引き継ぎます。
県の消防防災ヘリ「アルプス」。名前は5年前の事故後も引き継がれました。
長野県の消防防災ヘリ「アルプス」が墜落(2017年3月5日)
2017年3月5日、先代の「アルプス」は、訓練飛行中に鉢伏山に墜落。乗っていた9人全員が死亡しました。
死亡した機長が「十分な高度を取らなかった」などとして書類送検され、その後、不起訴処分となりました。
消火活動をする2代目の「アルプス」(2021年4月)
2021年4月、2代目のヘリの運航が始まり、本格的な活動が再開しました。
初出動時(苗場山2021年4月10日):
「あーいたいた。日陰だね、発見、4時方向」
避難者を救助―
消防防災航空隊・田中竜太さん:
「安全な活動が積み上げてこられたのは、良かったなと思ってます」
2020年に配属された田中竜太さんは、事故で亡くなった高嶋典俊さんと松本広域消防局の同期でした。
消防防災航空隊・田中竜太さん:
「(高嶋さんは)本当に兄みたいな存在でした。憧れでもありましたし、常に背中を追っている存在でもありました。彼が生きてこの先、活動していたらなっていたであろう姿に追いつきたい、という気持ちは常にあります。事故から学んだ教訓を生かして、安全な活動を今後も積み上げていきたい」
水崎厚史隊長 提供:県消防防災航空センター
事故の翌月から5年に渡って隊の再建を担った水崎厚史隊長。今月いっぱいで長野市消防局に戻ります。
技術のレベルアップと並んで大切にしてきたのは「風通しの良さ」。5年前の事故では、機長と隊員たちの間に壁があったと指摘されていました。
水崎厚史隊長
水崎厚史隊長:
「(きょうの訓練では)機内で会話して確認して、今までのいけなかったことを修正できた。これ現場でもすごい重要なことなので、気がついた人が発言して、安全に取り組んでいけるようにしましょう」
ちょっとした疑問も率直に指摘しあうことが事故防止につながると信じています。
水崎厚史隊長:
「安全に関しては、一番の新人でも私と同じように対等でなければならない。安全っていうのは終わりがなくて、常に継続していく(もの)。この先も隊員みんなが引き継いでいってくれると、そう思っています」
今年度のアルプスの出動は先月末で15回。事故前の1割にとどまっています。パイロットの不足で週2日は飛べないことなどが原因で、期待される役割を果たすには体制の充実が課題です。
事故から5年…
9人の貴い命が失われた事故から5日で5年。
午後1時33分の墜落時刻に合わせて追悼の式典が行われます。
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