よろづや・小野誠社長
長野県山ノ内町の湯田中温泉で、文化財の建物が全焼した火災から1年がたちました。旅館は建物の再建を決め、火事から守られたもう一つの文化財を支えに営業を続けています。
雪に埋もれたコンクリートの土台。かつてここに温泉旅館の「離れ」が建っていました。
2021年2月11日。旅館「よろづや」で火災が発生。離れの「松籟荘(しょうらいそう)」が全焼しました。国の有形文化財で温泉街のシンボルでもあった建物が失われたのです。
桃山風呂
一方、懸命の消火活動で守られたものがあります。松籟荘の隣にあったもう一つの文化財「桃山風呂」です。
よろづや・小野誠社長:
「懸命な消火活動をしてくれたということで本当に感謝」
当時、現場で指揮をとったのが、岳南広域消防本部の池田悦智消防長です。
消防の消火活動 2021年2月11日
岳南広域消防本部・池田悦智消防長:
「文化財ということでもあったのでえらいことだなと。大きい建物で木造、長期戦になるなという感じは受けました」
桃山風呂にも迫る炎。消防は延焼防止に力を注ぎました。
岳南広域消防本部・池田悦智消防長:
「『お風呂は大丈夫ですかね、なんとかお風呂だけはよろしくお願いします』とだいぶ心配されていましたので、警戒筒先をいくつかおいて延焼防止を図った」
上空からの映像でも、隊員たちが桃山風呂に集中して放水している様子が確認できます。桃山風呂は延焼を免れ、今も旅館の「顔」です。
NBS長野放送
火災後、旅館は約1ヵ月ほどで営業を再開。客の励ましと「桃山風呂」が支えになりました。
よろづや・小野誠社長:
「松籟荘と桃山風呂の両方を失っていたら恐ろしいことですよね。きっと心が折れて社長をやめていたかもしれません」
旅館は松籟荘の再建を決めました。木造2階建てで、2023年12月に完成予定です。館内のインテリアを揃えるため、支援を求めるクラウドファンディングも実施。10日ほどで目標金額の1000万円に達成し、すでに2倍以上の金額が集まっています。
よろづや・小野誠社長:
「みなさんよろづやのことを応援してくださるんだなと本当にありがたいことだなと改めて思いましたし、新しい松籟荘はできるならば今まで以上にいい旅館にしたいなと」
(クラウドファンディングは2月末まで)
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