約2週間、東俣川の冷水にさらされた玄ソバを引き上げる会員たち
長野県下諏訪町の住民有志らでつくる四王蕎麦の会(森安夫会長)は2日、町内の東俣国有林内を流れる清流・東俣川で、「寒晒しそば」用に流水に沈めていたソバの実を引き上げる作業をした。引き上げたソバの実は会員宅の倉庫で2週間ほど寒風にさらして乾燥し、夏に寒晒しそばとして味わうという。
寒晒しは、秋に収穫した玄ソバを翌年の夏においしく食べるための昔の人の知恵。冷たい水や風にさらすことで保存性を高め、雑味のない甘みともちもちとした食感を引き出す。江戸時代には高島藩と高遠藩が夏の土用に「暑中寒晒しそば」として将軍家に献上したという。
同会では毎年、同町内と塩尻市内の休耕田を活用してソバを栽培しており、2009年から寒晒しにも取り組んでいる。昨年は約30アールの畑で栽培し、約200キロの玄ソバを収穫。このうち20キロを寒晒し用とし、今年1月19日に三つの網袋に詰めた玄ソバを川に沈めた。
引き上げ作業には会員約10人が参加。厳冬の東俣川の水温は2度ほどと冷たいが、会員たちは川の中に足を踏み入れ、十分に水を吸って重くなった玄ソバを4人がかりで引き上げた。
森会長は「そばを通した仲間づくり、地域の交流などを目的に活動しているが、最近はコロナ禍で交流ができない。今年の夏こそおいしい寒晒しそばをみんなで楽しく味わいたい」と話していた。
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