伊那西小学校の学校林にある「森の教室」(長野県伊那市)
特集は、森を地域の宝にしようという取り組みです。長野県伊那市の伊那西小学校では、「学校林」に教室やステージがつくられ、イベントなどに活用されています。子どもたちと共に森を資源として守っていく取り組みです。
伊那西小学校の学校林
木造の建物で児童たちが作業をしています。塗っているのは木材の防腐剤です。
児童:
「ちゃんと薬が効いてほしいです」
ここは伊那市の伊那西小学校の学校林。広さは、約1ヘクタールあります。
NBS長野放送
建物は2021年春に建てられた「森の教室」です。自然環境などを学ぶ拠点で、使われた木材は全て学校林から切り出されたものです。
唐木賢治さん:
「こっち塗って、こっち。ここ塗って」
児童と一緒に作業をしたのは「森の教室」を建てた「伊那西地区を考える会」のメンバーです。
「伊那西地区を考える会」のメンバーが一緒に作業
「考える会」は保育園の廃園問題をきっかけに住民有志でつくられ、2015年から移住者・定住者を増やそうと取り組んでいます。
事務局長の唐木賢治さんを含め、多くが伊那西小のOBです。
伊那西地区を考える会 事務局長・唐木賢治さん
伊那西地区を考える会 事務局長・唐木賢治さん:
「林間でマラソンをしたり、飯ごう炊飯したり、小さい頃から森(学校林)と一緒に生活してきたということもあって、すごく愛着ある中で森の木を使って『森ステージ』を作ったり、『森の教室』を作ったりさせてもらった」
唐木さんは、仕事の関係で伊那西を離れて生活する時がありました。離れて気づかされたのが、学校林に代表されるふるさとの自然の豊かさでした。
NBS長野放送
伊那西地区を考える会 事務局長・唐木賢治さん:
「『伊那西小学校=森』というような感じで、人と自然と地域の中心に学校があるというのがやっぱり一番の魅力」
伊那西地区を考える会・中村博さん
「考える会」のメンバーで、木工製品の会社「やまとわ」を営む中村博さんも森の魅力を再発見した一人です。
伊那西地区を考える会・中村博さん:
「小さい頃は何もないと思っていて、もっと都会とかに憧れていて、実際に一度、離れてみたらここには何もないのではなくて、学校林は地域の宝だってすごく意識された」
かつて森は暮らしと密接に関わり、林業も盛んでした。しかし戦後、燃料を石油・ガスに依存し、安い輸入材が入ってくると、暮らしは森から遠のき、林業も衰退。森林が荒れていきました。[/MARKOVE]