ソバの実を詰めた袋を冷たい清流に浸す高遠そば組合の組合員=伊那市長谷の粟沢川
長野県伊那市の高遠そば組合は二十四節気の「小寒」の5日、江戸時代に高遠藩が将軍家に献上したとされる「寒ざらしそば」の仕込み作業を同市長谷の粟沢川で行った。ソバの実を入れた袋を1カ月間清流に浸してから、寒風にさらす。7月に市内の8店舗で提供する予定だ。
寒ざらしそばは冷たい水や寒波にさらされてあくが抜け、甘みが増す。同組合によると、江戸時代の文献に基づいて昨年から水に浸す期間を延長し、今年は立春の2月4日に引き上げられる。そば粉十割の「暑中信州寒晒蕎麦」として、計1200食ほどを販売する。
今季は地元産のソバの実約180キロを用意。組合員6人が、水温1度の川に24袋を沈め、ロープで固定した。新たに水温計を取り付け、1時間ごとの計測も行う。
信州大学大学院でソバを研究している壱刻の店主、山根健司さん(56)は「昨年はしこしことした食感と甘みが強く感じられ、好評だった」。高島良幸組合長(66)は「歴史に基づいたそばで、新そばとは違った味わい。例年より水温が低く、一段とおいしくなるのでは」と期待していた。
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