公開されたカゴメ富士見工場の新棟。健康志向の高まりとアフターコロナを見据え、野菜飲料の需要増に対応できる体制を整えた=24日、富士見町富士見
カゴメ(本社・名古屋市)は24日、長野県富士見町の同社富士見工場に建設した新棟と新生産ラインを地元関係者や報道各社に公開した。「野菜生活100」をはじめとする紙容器の野菜飲料の主力工場。高速で充てん、包装をする3機の新生産ラインにより、生産能力を2割増強する。健康志向の高まりとコロナ後を見据え、野菜飲料の需要増に対応できる体制を構築。人と環境にも配慮して設備を更新、増強した。
富士見工場は1968(昭和43)年操業開始。敷地内の国道20号側にあった建物を取り壊し、約86億円を投じて新棟を建てた。延べ床面積は1万2333平方メートル。1分間に400パックの能力を持つ充てん機、ロボットが高速で梱包する包装設備を導入した。同工場の従来の年間生産量は1500万ケースだが、新規と既存の生産ラインで1850万ケースにまで向上する。
全ての工程を把握できる集中管理室を新設した。「働きやすい職場づくり」を意識したといい、原料や製品を自動的に入出庫するシステムも構築。高速・効率化により、年間14日ほど発生していた休日稼働がゼロになるという。
環境面では、同工場で初となる太陽光パネルを新棟の屋根全面に設置。年間使用電力の約23%を賄い、年600トンの二酸化炭素(CO2)削減を図る。さらに、工場から出るCO2と温水を隣接地にある「八ケ岳みらい菜園」に送り、トマト生産での光合成と暖房に活用する。
3機の新生産ラインは10月から順に稼働し、来月から3機目を動かす。24日は名取重治町長ら地元関係者を招いて落成式を行い、その後、山口聡社長や吉田智之・富士見工場長らが記者発表。山口社長は「健康食材はコロナ下でも堅調に推移し、アフターコロナの時代にも下がらないと踏んでいる。将来のさらなる需要拡大に備え、食を通じた社会課題の解決や地方創生に貢献していきたい」と述べた。
新棟には工場見学用の通路やスペースも設ける。近くにある「カゴメ野菜生活ファーム富士見」を通して、来春から見学希望者を受け入れる予定だ。
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