NBS長野放送
特集は長野県佐久市の駅前にあるラーメン店です。「満州」での記憶を頼りに初代が編み出したスープに、2代目が考案した特製の「頓珍肉」(トンチンロー)の入ったラーメンが名物です。コロナ禍の今は2代目の妻と3代目が味と店を守っています。
頓珍館の入り口(長野県佐久市)
丼を差し出すコック帽の男性。これが、JR小海線の中込駅前にあるラーメン店「頓珍館」(とんちんかん)の目印です。
名物は厚めの豚肉がたっぷり入った、その名も「とんちんめん」。(税込900円)
「とんちんめん」には厚めの豚肉がたっぷり…
3代目・井出昌之さん:
「はいどうぞ、とんちんめんの大盛り、お待たせしました」
客:
「おいしいです、変わらない味で」
母・芙美子さん(左)と井出昌之さん
3代目の店主・井出昌之さん(54 )と今も厨房に立ち続ける母・芙美子さん(83 )が営んでいます。
母・芙美子さん
母・芙美子さん:
「たかがラーメン屋、されどラーメン屋」
2人は70年の歴史が詰まった一杯を作り続けています。
提供写真
店の前身は、戦後間もない昭和22年(1947)にオープンした喫茶店「ステーションハウス」。旧満州(現在の中国東北部)から引き揚げてきた初代・武雄さんが中込駅前で開業しました。
初代・武雄さん
母・芙美子さん:
「最初はあんパンくらいでケーキとかそんなものはなく、統制販売で甘味が控えられてたので、みんな甘いものを求めて来てくださった」
食糧統制が解除され近くに甘味処が増えると、初代・武雄さんは店を食堂に転換しました。
武雄さんは、「満州」で新聞記者をしていたそうで、その当時、食べた料理をヒントにラーメンを作りました。スープの作り方・味は今も受け継がれています。
頓珍館のスープ
母・芙美子さん:
「父親と母親が引揚者で、『満州』で覚えたスープをヒントに作ったもの。ずっとこのスープでやってる。割とあっさりしてる、あまりしつこくない」
2代目・国建さんが店名を「頓珍館」に
店は区画整理や商店街の近代化事業で1980年に現在の場所に移転。同時に2代目・国建さんが、もっと親しまれるようにと店名を「頓珍館」に変えました。
2代目・国建さんと芙美子さん
国建さんは芙美子さんとの結婚を機に27歳で店に入りました。それまでは都内でデザイン関係の仕事をしていて、あのイラストも国建さんが自分自身を描いたものだそうです。
アイデアマンの国建さん。「看板メニューに」と豚肉の調理を研究します。黒豚のばら肉をゆでて脂分を落としてから、しょうゆ、みりん、ショウガで少し甘めに煮込みます。最後にうま味を閉じ込めるため急速冷凍。
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