富士見町太陽光条例の改正案について説明する名取重治町長=28日夕、町役場
長野県富士見町は28日、町太陽光発電設備の設置等に関する条例(町太陽光条例)の改正案を発表した。10キロワット以上の計画に対し、事業区域の近接住民と関係区からの「同意」(住民同意)を許可要件に加えるのが柱。町内全域を「抑制区域」に設定し、自然景観や生活環境の保全、防災などの観点から、町として野立ての太陽光発電設備の設置を抑える姿勢を鮮明にした。29日に公表し、素案に対するパブリックコメント(意見募集)を実施する。
名取重治町長は「町内では太陽光の開発圧力が相当高まっている。生活環境や豊かな自然を守るためには通り一遍の規制では、抗い切れないと判断した」と説明。「全国的にみてもかなり厳しい内容」との認識を示し、「財産権や営業権に触れる可能性は大いにあるが、町民の命と暮らしを守ることを最優先に考えて決断した」と強調した。
素案では、事業区域の境界から50メートル以内の土地・建物所有者を「近接住民」、100メートル以内の区域を含む区・集落組合を「関係区」と定義。双方の「同意」を義務付けるとした。近接住民は全員から同意書を得る必要があり、町は「高いハードルを課す」と説明。現行条例で50メートル以内とする住民説明を行う範囲も、「200メートル以内」の土地・建物所有者に広げるとした。
現在は事業区域3000平方メートル以上の場合に町との事前協議を求めているが、10キロワット以上の太陽光発電事業者に対象を拡大。固定価格買い取り制度(FIT)認定手続きの前に、町と協議することも義務付ける考えを示した。
名取町長はこれまでに町条例の改正を明言。新設するとしていた抑制区域についてはこの日、町内全域を対象にすると説明し、設置基準も厳格化するとした。町の素案は周辺市町村の条例改正の動きにも影響を与えそうだ。
素案は町ホームページに掲載するほか、町役場、コミュニティ・プラザで閲覧できるようにし、11月17日まで意見を募る。町は「早期の施行を目指す」としつつ、町議会12月定例会に提案するのは「時間的に困難」とし、臨時会の開催を視野に入れていると明らかにした。
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