小屋で子ブタの世話をする伊那小の児童たち
伊那市伊那小学校4年文組の児童40人が、子ブタ1匹を飼い始めた。かわいがるだけでなく食べることも見据え、命の大切さと動物の生命をいただいて生きることの尊さを学ぶ狙い。子どもたちは「最後まで元気に大きく育てよう」と心に決め、校舎裏の小屋に迎え入れた。丸い鼻をぴくぴく動かす姿は愛嬌たっぷりで、みんなが夢中に。仲間と世話をし、成長を見守りながら”命の授業”に取り組んでいる。
■意見が対立 話し合い重ね
総合学習の一環で今年4月、児童が家畜のブタを育てて食べようと提案した。「愛着が湧いてしまうと思う。かわいそうで絶対無理」「残酷すぎる」と反対の声が集まる一方、「普段も豚肉を食べているのだから同じこと」「それが命の大切さを学ぶことだ」と賛成論も広がり、激しく意見が対立した。
話し合いを重ね、「食べるか、食べないかは一人ひとりが選択する」とした上で、食用のブタを飼うと決めた。これまで給食の食べ残しが最も多いとされた同クラス。栄養士や農家の人から思いを聞くなど、食育活動を続ける中で始まった。
子ブタは、生後3カ月の雌で体重約40キロ。銘柄は「駒ケ岳山麓豚」で、9月27日に宮田村の養豚農家から譲り受けた。小屋に寝そべったり、甘えて鼻を押し付けてきたり。穏やかな表情で「ブーブー」と鳴き、児童を夢中にさせている。
■分担し休日も欠かさずに
子どもたちは餌やりや背中のブラシがけ、ふんの片付けなど世話を分担。休日も欠かさずに、当番を決めて行う。情が移ってしまうため、正式な名前は付けないが、思い思いの愛称で呼んでいる。ブタは来年1月ごろまで育てて出荷し、食肉業者から買い取る計画という。
小屋は先輩から引き継いだ建物を活用し、周りに柵を張り巡らせた。家畜伝染病「豚熱」対策として、入り口に靴を消毒するための消石灰を設けたほか、小屋に入る際は必ず作業服を着用する。
■世話を通して命の尊さを
児童の一人(9)は「おいしくなるよう健康に育てる。病気になって捨てられたら悲しいから」。別の児童(10)は「きちんと世話をする責任がある。出荷するならちゃんと食べてあげて、体の一部にしたい」と話す。
担任の川上達磨教諭(40)は「飼育から調理まで、大勢の人の関わりや大変な苦労があることを学ぶ機会でもある」と強調。「食べ物を無駄にするとはどういうことか。世話を通して動物の命の尊さを知り、命をいただくことを実感してほしい」と願っている。
[/MARKOVE]