開催方針だった諏訪圏工業メッセの展示会の中止を発表する細田委員長(右)
長野県内最大の工業見本市「諏訪圏工業メッセ2021」の実行委員会は13日、10月に諏訪市の諏訪湖イベントホールで2年ぶりに開催する方針だった、全国からビジネス客を集める展示会の中止を発表した。7月30日に実施を発表したが、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を踏まえ再び協議し、中止を正式に決めた。開催中のウェブ展示商談会で地元企業の受発注を支援していく。
同市小和田南の諏訪商工会館で会見を開き、細田秀司実行委員長は「若い世代やワクチン接種の対象外となっている12歳未満の子どもたちにも感染が広がっている。(工業メッセの開催が)休校につながることもありうる。それは避けなければならない」と語った。中止へと判断を変えた大きな理由はデルタ株の急速な拡大。小坂和夫推進本部長は「8月の首都圏をはじめとする全国的な新規感染者数の急拡大、医療の逼迫状況などを踏まえ、対応を改めた。たった1週間で感染者数がこれほど増える状況は予想していなかった」と説明した。
「第5波のピークは超えた」という見方があるが、小坂本部長は「感染が再び広がれば、ビジネス効果として期待する関東圏や中京圏、海外からの来場者が見込めない。感染が再び拡大しないという見通しがない中では苦渋の選択だ」とした。県や地元医師会との協議を踏まえ、9日の同実行委新型コロナウイルス感染症・メッセ対策本部会議、10日の同実行委を経て決定した。
7月の開催決定後、会場設営資材の手配などで概算で3150万円の経費が新たに発生しており、今回の中止に伴い収支不足の可能性もある。自治体や商工会議所の負担金で賄えるかは微妙な状況という。規定によると出展料は、主催者都合の中止の場合、企業側に全額返金されるが、同本部長は「応分の負担をお願いせざるを得ない状況が出てくるかもしれない」とした。事務局によると、出展社数は現在353社。7月30日の段階に比べ22社減った。
開催中のウェブ展示商談会は引き続き10月末まで開催中。8月16日に始まり、これまでに1万3600件のアクセスがあった。
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