林野火災から20日。焼け跡からの芽吹きが始まり、オニゼンマイなどが存在感たっぷりに生えている=23日午前、霧ケ峰・富士見台周辺
大型連休中の4日に大規模な林野火災が起きた霧ケ峰で23日、観光シーズンの到来を告げる「霧ケ峰開山祭」があった。長野県諏訪観光協会と霧ケ峰強清水自治会が主催し、諏訪市や地権者団体などを含め約40人が参列。今季の安全とにぎわいを祈願した。林野火災では諏訪、茅野両市にまたがる約180ヘクタールを焼き、夏の観光資源でもあるニッコウキスゲ群生地の一部にも火が入ったが、焼け跡からはキスゲの芽も出て成長し始めている。
蛙原に建つ霧鐘塔前で行う予定だったが、雨のため屋内で執り行った。手長神社(諏訪市)の前島正宮司が祝詞を奏上し、各団体の代表者が玉串をささげた。
協会によると、霧ケ峰を昨年訪れた観光客は前年比41万人増の186万人で、コロナ下の落ち込みから回復傾向にある。佐久秀幸会長は「アフターコロナで移動が活発になる。諏訪湖、温泉、霧ケ峰を組み合わせて観光事業を進めたい」とあいさつ。林野火災にも触れ「けが人や建物の被害がなく良かった。焼け跡が広がるが、霧ケ峰の美しい景観は変わらない」と述べた。
霧ケ峰旅館組合の有賀文夫組合長は「観光への影響を心配したが、キャンセルも風評もなかった。(景観整備伐採で)眺望が向上した薙鎌神社など、霧ケ峰の魅力を積極的に発信していきたい」と話していた。
富士見台(諏訪市)のニッコウキスゲ群生地は4分の3ほどが焼け焦げたが、県霧ケ峰自然保護センター(同)によると、焼け跡からは新芽が出ており、火災で先端が焼けた芽も丈が伸びている。木が焼けてしまったレンゲツツジの開花は「今年は厳しい」とするが、ニッコウキスゲの火災による影響は限定的との見方を維持している。
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