畑で短期間に栽培できる「陸(おか)ワサビ」
長野県安曇野市で特産の「ワサビ」の収穫が始まりました。といっても湧水にさらして育てる「水ワサビ」ではなく、畑で短期間に栽培できる「陸(おか)ワサビ」の収穫です。加工メーカーやJAが今、生産拡大を目指しています。
収穫しているのは「陸(おか)ワサビ」
安曇野市の農業用ハウス。収穫しているのは「陸(おか)ワサビ」です。
(記者リポート)
「収穫した陸ワサビです。水ワサビでは、ここから下の部分、根茎(こんけい)といわれる部分がメインになるんですが、それが短いうちに収穫します」
資料 湧水にさらして育てる「水ワサビ」
清流にさらして栽培するイメージが強いワサビ。
「根茎」と呼ばれる部分を長く育てます。
水ワサビは収穫まで15カ月以上 陸ワサビは8カ月
「陸ワサビ」も同じワサビですが、根茎が短いうちに収穫。これにはメリットがあります。
水ワサビは収穫まで15カ月以上かかるのに対し、陸ワサビは8カ月。
水ワサビが水位や気候に左右されやすく栽培地も限られるのに対し、陸ワサビは安定的に育てることができます。
地元の加工メーカーが経験の浅い農家に指導
マル井 製造本部研究室長(農家に指導)」
「1回でやらないで何回かでやってもらうと、丸く。株が丸くなってるじゃないですか」
経験の浅い農家に指導しているのは、地元の加工メーカー「マル井」の担当者。
2020年から「マル井」とJAが生産量を増やそうとしています。
「マル井」の工場(2018年取材)
日本食ブームを追い風に、ワサビは海外での需要が高まっています。
「マル井」も海外での販路を拡大しており、安定的に収穫できる「陸ワサビ」に注目しています。
マル井 製造本部研究室長・松田洋介さん
マル井 製造本部研究室長・松田洋介さん:
「しっかりと収穫の目安がとれるので、生産者にとっても毎年おなじ収量がとれる。弊社もその分、買い取りができるということで、生産者の保護、サポートをさせていただきながら共にブランドをつくっていきたい」
短い根茎はチューブに
収穫した陸ワサビは、短い根茎はチューブに。
茎は刺身などに添付されるワサビに 葉は「ワサビ風味」の菓子などに使う
茎は、刺身などに添付されるワサビに。葉も「ワサビ風味」の菓子などに使います。
陸ワサビを生産・浅川晃一さん
収穫2年目の浅川晃一さん。
これまでは、キュウリやトマトを栽培していましたが―。
陸ワサビを生産・浅川晃一さん:
「トマトやキュウリほど毎日しっかり見ないと、という野菜ではないので若干、楽かな。売れ残ったらどうしようという心配がないのはいい」
現在、農家は15戸で今年の収穫見込みは30トン。メーカーやJAは100トンまで増やしたいとしています。
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