県が活用の試行を始める生成AIサービスの画面
長野県は12日、文章や画像を自動的に作り出す人工知能(AI)「生成AI」の利活用について、事例の蓄積や共有を図っていく方針を示した。県がすでに導入している会議支援ツールを通じて試行し、特徴を理解する。期間は今月15日から7月21日までとし、業務効率化につながる用途や有効な質問方法などを検証する。
県が導入している会議支援ツールでは4月から生成AIの一つである「チャットGPT」の技術が組み込まれ、議事録の要約やAIへの質問が可能になっている。想定される用途として県は、あいさつ文案の作成、表計算ソフトの関数の作成、アイデア出しなども挙げている。
ルールに沿った活用を前提とし、▽個人情報や機密性の高い情報は取り扱わない▽事実を調査するためには使わない▽生成AIで作成した資料を庁内の意思決定過程で使用する場合はAIを利用したことを明記する▽著作権や商標権侵害に注意する―などを順守することとした。
県は生成AI導入の基本姿勢として、複雑・多様化する地域課題や利用者のニーズを踏まえた行政サービスの改善にデジタル技術が「有効な手段の一つ」とし、生成AIについても「業務の効率化につながることが期待され、必要に応じて活用すべき技術の一つである」との考え方を示した。一方で、「情報セキュリティーに対する理解度や職員の業務に対する主体性が改めて問われる」としている。
阿部守一知事は12日の会見で「今回の試行でどういう課題が出てくるのか、出てこないのか、あるいはどれくらい業務が効率化していくのか、しっかり見極めながら対応していきたい」と述べた。実際に使ってみた感想として、「事実関係は相当ファクトチェックしないと使えないが、もっともらしい文章はすぐ作れる」とし、「あまり予断を持たずに試行していきたい」と話した。
[/MARKOVE]