地域指導者と演奏
中学校の部活動を地域のクラブや団体に移すいわゆる「地域移行」が2023年度から本格化する。この「地域移行」には指導者の確保や資金面での不安などの課題がある。そうした中、長野県千曲市と坂城町は連携して指導者を確保し、行政主体の「地域クラブ」を県内で初めて立ち上げた。課題は解決したのだろうか。
【動画で見る】指導者137人確保 部活動“地域移行” 長野県内初「行政主体で受け皿」 千曲市・坂城町が「地域クラブ」
■15の部活動を5校合同 地域移行の「受け皿」
千曲市と坂城町の中学校5校の生徒50人が一緒に練習
日曜日の戸倉上山田中学校。吹奏楽の音色が響いていた。演奏していたのは―
生徒:
「(何中学校?)戸倉上山田中学校です」
「坂城中学校です」
「更埴西中学校です」
千曲市と坂城町の中学校5校の生徒50人が一緒に練習をしていた。
この合同練習、実は―。
千曲坂城クラブ吹奏楽専門部事務局・塚田伸一さん(戸倉上山田中教諭):
「千曲坂城クラブの吹奏楽専門部、第1回目の活動がきょうになりました」
千曲坂城クラブ
「千曲坂城クラブ」は千曲市と坂城町が立ち上げた、部活動の「地域移行」の受け皿。
学校ごとにあった運動系、文化系合わせて15の部活動を一つの枠組みに入れて、運営する取り組みだ。
■指導者「できることを伝えられれば」
トロンボーンを指導する須坂浩章さん
トロンボーンを指導する須坂浩章さん(63)。
千曲坂城クラブ 指導者・須坂浩章さん(指導):
「どれだけ息を入れたら鳴り始めるのか、自分でわかってくると、指揮のここっていうときにそのスピードに持っていけばいいので、それを覚える」
須坂さんは会社員として働く傍ら、千曲市の吹奏楽団で副団長を務めている。
この日から「クラブ」の地域指導者となった。
千曲坂城クラブ 指導者・須坂浩章さん:
「こちらも手探り状態でやっているので、どうしていけばいいかわからないですけど、できることを子どもたちに伝えられればいいのかな」
■2023年度本格化…指導者不足が課題
中学校の部活動「地域移行」
「地域移行」は少子化で学校単位での部活動の維持が難しくなってきたこと、教員の働き方を見直すことを背景に政府が推し進めている。
2023年度から3年間は「改革集中期間」で、可能なところから部活動を地域のクラブや団体に移すよう促している。
最大の課題は―。
部活動に詳しい名古屋大学院・内田良教授(2022年11月取材):
「とりわけ地方に行くとまず『受け皿』がない。仮に予算が準備できても、受け皿、指導者、それを支えてくれるスポーツ団体がない。地方にとっては本当に大きな課題に直面している状況」
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