どぶろくを入れたコップを掲げて乾杯し4年ぶりの祝宴を楽しむ区民=茅野市本町の御座石神社
長野県茅野市本町の御座石神社恒例のどぶろく祭は27日あった。新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年から神事のみを行ってきたが、今回は4年ぶりに祝宴を再開。にぎやかに、どぶろくを酌み交わす区民の姿が再び境内に戻った。約400人が参集した。
同区のどぶろく祭は、記録に残るだけでも今から800年ほど前の鎌倉時代から続くといい、祝宴が中止になったのはコロナ下の今回が初めてではないかという。
市の無形文化財に指定され、古式にのっとって行われるのが特徴で、境内にある醸造蔵でどぶろくが造られ、神前にはどぶろくと鹿肉、ウドが供えられる。
鹿肉をゆでるかまどは近くの上川から丸石を調達して作り、木の板と棒を使ってかまどに入れる火をおしてもいる。
この日は、1~6丁目の各会長のうち3人が代わる代わる棒を両手でもんで手際よく火をおこした。麻に付いた種火をかまどに移し、鹿肉は水の張った鉄なべに入れゆでた。どぶろくの仕込みは1カ月ほど前から始まり、この日までに約1200リットルが出来上がった。
アルコール度数は17度。神事に続いてどぶろく当番長の湯本浩志さん(63)は「今年は辛口にしたいと思っていたが、甘口になった」とし「4年ぶりに区民に振る舞えることに感謝する」とあいさつ。区民は一斉に乾杯して組ごと祝宴を開始した。
2年前に同区に転居し祝宴参加は初めてという4丁目の会社員、田中誠之さん(35)は、初めて味わったどぶろくに「おいしい」と笑顔。「祭りは地域の人たちとより親しくなる、きっかけづくりになる」と話していた。
[/MARKOVE]