行された本を手にする原田泰治さん=2020年7月1日
昨年3月2日に81歳で亡くなった長野県諏訪市の画家、原田泰治さんを偲ぶ会(実行委員会主催)が5月14日午後3時から、市文化センターで開くことが決まった。生前に深い親交があった歌手のさだまさしさん、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんらが、思い出のトークやミニライブを行う。音楽と語りを通して、ふるさとの風景を描き続けた素朴画家の足跡をたどる。
諏訪市渋崎の原田泰治美術館によると、コロナ禍で当初予定していた「お別れの会」ができないまま1周忌を迎えたため、名称を改めた。参加無料。対象は同館友の会会員と家族会員約200人のほか、招待者に限定する。実行委員長は鎌田さん。原田さんや作品に思い入れのある参加者らと思いをはせる。
偲ぶ会に先立ち、原田さんの追悼展「鳥の目・虫の目 日本の旅」を4月21日から同館で開く。全国に名を広めた作品として、1982年から朝日新聞日曜版「原田泰治の世界」に連載された127点の原画を展示する。会場で二次元コードを読み取ると作品に添えた紹介文をすべて読めるほか、目の不自由な人のために代表作10点の朗読を動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で配信する。
全国各地に出向いて自ら取材した記録、原稿、制作に使われた道具類もそろう。エントランスホールを含む全館を会場とし、原田さんの写真、秘話も交えて紹介する。
初日午前10時30分からのオープニングセレモニーに続き、同11時から原田さんの遺言でもある「昼花火」を同市の諏訪湖ヨットハーバーから81発打ち上げる。生前に原田さんは子どもを集めて昼間に音花火をするのが大好きで、「歳の数だけ打ち上げてほしい」と願っていたという。
原田さんは1940年、諏訪市上町生まれ。1歳のときに小児まひで両足が不自由になり、幼少期に移り住んだ下伊那郡伊賀良村(現飯田市)で、広大な景色を見渡す「鳥の目」と細部まで観察する「虫の目」を養った。
土田祐子館長は「昼間の花火は数分間にわたる。鳴り響く音を聞いて、地域の人たちにも思いを寄せてもらえたら」と話している。
偲ぶ会に関する申し込み、問い合わせは同館(電話0266・54・1881)へ。
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