ワークラボ八ケ岳で実証中の「プライベートLTE」の機能を実演したセミナー
長野県茅野市などは22日、企業関係者やテレワークを行う人らを対象にした情報通信セキュリティーをテーマにしたセミナーを、同市のコワーキングスペース「ワークラボ八ケ岳」で開いた。オンラインを含め約40人が参加。2021年4月から同スペースで実証中の最新の無線通信サービスに触れたほか、情報漏えいのリスク管理について理解を深めた。
同セミナーは、21年7月に同市と協定を結び、市内で行う新規技術の実証などを支援するイーヒルズ(東京都)が共催。この日は、パナソニックホールディングスが、現在普及している構内無線通信「PHS」に代わる技術として開発中の「プライベートLTE」について発表した。
プライベートLTEは、縦約21センチ、横約15センチ、高さ約5センチの「基地局」を電源につなぎ、スマートフォンなどの端末に専用のSIM(シム)カードを挿入することでインターネットを介さずに無線通信を行うサービス。個別のSIMで基地局と端末の認証を行うためIDやパスワードが必要なく、高度なセキュリティーを実現できるのが特徴だ。
同社の金澤岳史さん(49)は「音声のみのPHSと異なり、ビデオ通話やチャット、画像転送などの機能も使える」と説明。病院内の患者の情報共有や工場内の少線化などの利便性を挙げ、専用のアプリケーションを使って機能を実演した。同社は今年秋ごろから同サービスの提供を始める。
イーヒルズ取締役の渡部宗一さん(62)は企業や自治体のコンピューターに侵入してシステムの制御を乗っ取ったり、情報を盗んだりする「マルウェア」の危険性を解説した。感染を防ぐために、サーバーやソフトウエアなどを最新の状態に更新する必要性を訴えた。
社有のパソコンを外部でネットに接続した際にマルウェアに感染し、社内の機器に持ち込む可能性も指摘。「会社の情報システム部門は社員の自宅のWi―Fi(ワイファイ)環境まで確認していない」と話し、IDやパスワードの適切な管理を呼び掛けた。
茅野市商工課の北原一秀係長(45)は「先進技術を使ってサービスや仕事、生活の利便性を向上させる取り組みを続けていく。実証を通じていろいろな人が滞在、交流する街にしていきたい」と展望を語った。
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