粉砕用の機械に投入される地元産の二条大麦「小春二条」の麦芽
長野県駒ケ根市と宮田村で栽培した二条大麦「小春二条」を原料としたウイスキーの仕込み作業が同村新田の「本坊酒造マルス信州蒸溜所」で始まっている。6次産業化の取り組みとして両市村や酒造会社、JA上伊那などが進めるプロジェクトの一環。地元産二条大麦のみを使ったウイスキー造りは4年目となる。今年は前年を8トン上回る約22トンの麦芽を用意し、17日まで仕込み作業を行う。
農産物の6次産業化や水田の新たな転作作物を探る中、2015年度に始まった二条大麦の栽培。両市村で「小春二条」の試験栽培を開始し、収穫した麦を原料に17年から地ビール「宝剣岳Ale(エール)」の醸造、20年からモルトウイスキー造りに取り組んでいる。
4年目の仕込みは2月28日にスタート。麦芽の量が増えたことから、18回に分けて仕込みを行う。昨年6月に収穫した二条大麦の麦芽は専用の機械で粉砕され、お湯と混ぜて糖化。その後、ろ過した麦汁は発酵、蒸留を経てたる詰めされる。
製造主任の佐々木雄介さん(38)は「今年は粒がそろっていて大きい」と麦芽の出来に太鼓判。「上伊那産の麦らしさを感じることができるように仕込みたい」と話していた。たる詰め後は3年以上熟成され、700ミリリットル瓶換算で約2万本のウイスキーに仕上がる見通しだ。
市農林課によると、昨年は両市村で14農家が約1021アールの農地で二条大麦を栽培し、約29トンを収穫した。今年は15農家が約1040アールで栽培。生育は順調に進んでいるといい、約31トンの収穫を見込んでいる。
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