「事八日」を迎え、もみ殻をいぶし、道祖神像の口元に餅をつける原村中新田の伝承活動継承委員会のメンバー=8日午前
長野県原村中新田で「事八日」の8日、疫病神から地域を守る伝統行事があった。伝承活動継承委員会のメンバー8人が区内の道祖神前に参集。トウガラシを混ぜたもみ殻をいぶし、道祖神像の口元に餅をつけた。
毎年、もみ殻はいぶしているものの、少しでも昔ながらの姿で行事ができたらと、餅の持参を復活した。委員がもみ殻に火を入れ煙が立ち上がる中、道祖神像の口にしっかり餅をつけた。
同委員会によると、同区ではかつてこの日に、もみ殻やトウガラシなど、強い匂いの出るものを戸口で燃やし、厄神が入ってこないよう願う習わしがあった。ただ、現在各戸で行われることはなく、道祖神での行事が続くくらいとする。
道祖神は双体像で、猿田彦命と、天鈿女命がまつられているという。
餅を口につけるのは、猿田彦命が、お伊勢さまでの祈年祭に出席するため留守のことを知られない、口封じではないかとも考えられるという。
事八日は農作業の始まる時期ともされる。委員会メンバーは、近くの津島神社で祈年祭も行い、農作物の豊かな実りなどを祈願した。折井克彦委員長(69)は「今年が良き年であるよう願いたい」と話した。
事八日の行事は、以前は各地で行われたという。茅野市湯川区発行の「湯川むら」にはこうも載る。
―この朝はどの家でもうんと早く起きて、木戸口で籾殻に胡椒やさいかちを交ぜて燻すのだが、この日は疫病神が村を通るので、それに家へ入り込まれないようにするのだという。
…萱の箸の先に餅をさして道祖神の口一杯につけた。…これは、疫病神がきても道祖神は口を塞がれていて、むらの様子を喋れないようにしたのだそうだ―。
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