昨秋行われた茅野市内の主要観光地を結ぶ無料バスの実証運行
長野県茅野市のちの観光まちづくり推進機構(DMO)は、市と協力して昨秋の週末に実証運行した市内の主要観光地を結ぶ無料バスの実績をまとめた。利用者総数は2107人で、DMOは「ほぼ想定した通り」(ちのDMO)。一方で「利用客が乗り遅れた場合、1時間以上待たせてしまう運行ダイヤは課題」とする。今後、乗り合いオンデマンド交通を活用した実証運行で費用や利便性の検証などを行いたい考えで、予算確保を目指している。
定時にバス停に止まる運行方式で、昨年9月3日から11月27日までの土日祝日計31日間、市内のバス事業者2社に委託して運行した。事業費は1486万円で全額に国費を充てた。ルートは車山~白樺湖、白樺湖~北八ケ岳ロープウェイ~蓼科湖、蓼科湖~御射鹿池~三井の森~チェルトの森の3路線で、午前10時前後から午後8~9時まで運行した。3カ所のバス停では茅野市の乗り合い人工知能(AI)活用オンデマンド交通「のらざあ」に乗り継ぎできるようにした。
乗車数は車山~白樺湖は285人、白樺湖~蓼科湖は1314人、蓼科湖~チェルトの森は508人。内訳は県外者・観光客は47%、別荘に住む市民が35%、別荘地以外の市民が14%だった。日中の便の利用が多く、夜間は少なかった。
実証運行では、運転を気にせず飲食店で酒を楽しめる点をバス利用の魅力の一つとして情報発信した。観光地への経済波及効果は算出していないが、利用者アンケートでは「運転から解放されてお酒もみんなで楽しめる」「ハンドルキーパーを気にせず飲食に行けた」などの回答があり、岩島善俊事務局長は「客単価を上げたり、滞在時間を延ばしたりすることにも貢献できたと思う」と話した。
来年度はグリーンシーズンの運行やオンデマンド交通の導入、利用者や観光事業者らの負担の可能性について検証したい考えだが、予算的な裏付けはまだないため、実証運行の実施に向けた課題となっている。
[/MARKOVE]