小川醸造場・小川泰祐さん 復活した味噌「復酵」
味噌の復活です。3年前の台風で大きな被害を受けた長野市の味噌蔵が再生、鑑評会に出していて難を逃れた味噌の「菌」を使って被災後、最初の仕込みをしました。復活した味噌の名は「復酵」(ふっこう)です。
【動画で見る】全国一の味噌復活 台風19号で被災…長野市の味噌蔵3年の歩み
■味噌が復活 「一つの峠をやっと越せた」
キセキのみそ復活!プロジェクト 未来につなぐ感謝祭(2022年12月11日)
2022年12月11日、長野市で開かれたイベント。台風19号で被災した「小川醸造場」の再生と味噌の復活を祝って、支援してきた団体などが開催したものです。
復活した味噌は「復酵」と名付けられました。
小川醸造場・小川泰祐さん
小川醸造場・小川泰祐さん:
「被災から3年たって、何とか味噌蔵を立て直して、こうやって販売できる日を迎えられたということで、一つの峠をやっと越せたのかな」
■台風による千曲川決壊で味噌蔵が全壊
台風19号による浸水被害(2019年10月)(撮影・小川泰祐さん)
2019年10月、台風による増水で千曲川の堤防が決壊。こちらは、味噌蔵の小川さんが撮影した映像です。
濁流にのまれ、器材も味噌も流される(撮影・小川泰祐さん)
小川醸造場・小川泰祐さん(当時):
「目の前で起きていることが現実だと理解できなかったですよね。驚きと恐怖でぼうぜんとして眺めていた」
味噌蔵は濁流にのまれ、器材も仕込み中の味噌も全て流されました。
全国からボランティアやファンが駆けつけ、片付けをサポート(2019年11月)
被災後、蔵には全国からボランティアや味噌のファンが駆けつけ、片付けをサポート。小川さんを勇気づけました。
しかし、蔵は全壊。器材も水につかり、もう使えません。収穫目前だった河川敷の大豆も無残な状況に…。
全壊した蔵の前で…(2019年11月)
小川醸造場・小川泰祐さん(当時):
「時間は相当かかりそうなんですけど、できることを少しずつ、一歩一歩やりながらそれに向かって進んでいく…」
■“全国一”が希望の光…「蔵付き」の酵母菌を培養へ
鑑評会に出していた味噌が「農林水産大臣賞」に(2019年11月)
そうした中、朗報が飛び込んできました。被災前、鑑評会に出していた味噌が「農林水産大臣賞」に輝いたのです。それは味噌造りを続ける上での希望の光ともなりました。
味噌の風味を左右するのは長年、蔵に息づいてきた「蔵付き」と呼ばれる酵母菌です。
「蔵付き」の菌の培養を試みることに(2019年12月)
濁流で味噌も菌も失われましたが、出品していたわずかな味噌から、県工業技術総合センターが「蔵付き」の培養を試みてくれることになったのです。
親戚の家に身を寄せながら小川さんは工場の再建を進めました。
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