特別養護老人ホーム「りんごの郷」 自衛隊のヘリで救助(長野市 2019年10月13日)
台風19号災害から3年、「命を守る取り組み」です。相次ぐ水害を受け2017年に法改正で浸水想定区域内の高齢者施設などは「避難計画」を作ることが義務付けらました。しかし、長野県の調査では作成済みは75パーセント、水害を想定した訓練の実施は56パーセントにとどまっています。「逃げ遅れゼロ」のために…。当時「垂直避難」で高齢者らの命を守った長野市穂保の高齢者施設。教訓を生かし「安全確保最優先」の計画を改めて作りました。
【動画で見る】“逃げ遅れゼロ”へ「命を優先した行動計画を」 『垂直避難』で高齢者を守った施設 台風19号災害から3年
特別養護老人ホーム「りんごの郷」(2022年10月4日)
長野市穂保の特別養護老人ホーム「りんごの郷」です。
特別養護老人ホーム「りんごの郷」の職員
りんごの郷・込山敬さん:
「誰一人けがもなく、命を落とすこともなく無事に避難できたというのは、もしかしたら奇跡かもしれないですよね…」
千曲川の堤防が決壊(長野市 2019年10月13日)
2019年の台風19号で千曲川の堤防が決壊。一帯は濁流に飲み込まれました。
特別養護老人ホーム「りんごの郷」 自衛隊のヘリで救助(長野市 2019年10月13日)
(リポート:当時)
「福祉施設です。自衛隊のヘリがこちらでも救助活動を行っています」
特別養護老人ホーム「りんごの郷」の1階部分が浸水(2019年10月)
堤防の決壊場所から800メートルほどの場所にある「りんごの郷」。
1階部分が浸水し、入所者87人と15人ほどのスタッフは自衛隊や消防によって救助されました。
入所者やスタッフなど70人はボートで救助―。
特別養護老人ホーム「りんごの郷」 (長野市 2019年10月13日)
避難を始めたのは越水が始まった午前1時ごろ。あたりは暗く、外に逃げる余裕もなかったことから2階に垂直避難しました。
特別養護老人ホーム「りんごの郷」千野真 施設長(2019年取材)
りんごの郷・千野真 施設長(当時):
「(外へ避難して)風の中、雨の中で体調を崩す・転んでしまうというリスクを考えると、垂直避難の方が利用者にとって安全だろうと」
当時の「避難確保計画」では須坂市内の別の施設への避難を盛り込んでいました。
しかし、この時の経験をもとに2階への「垂直避難」を基本とすることに改訂しました。逃げ遅れゼロのために最適と考えたからです。
特別養護老人ホーム「りんごの郷」宮島千絵 副施設長
りんごの郷・宮島千絵 副施設長:
「垂直避難であれば、外に出るより利用者の負荷が減らせるというのが一番。慣れている施設内での移動になるので、迅速に動ける。垂直だからこそ臨機応変に、余裕ができるので、できることがあると思う」
県の調査では「避難確保計画」が作成されていない県内の施設は25パーセントにのぼります。最も多い理由が「専門的な知識がないから」。
「りんごの郷」の担当者は「避難」のハードルを下げて考えることが重要と話します。
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