大学生ら15人が死亡した事故現場(2016年・長野県軽井沢町)
注目の裁判です。6年前、大学生ら15人が犠牲となった長野県軽井沢町のスキーバス転落事故。業務上過失致死傷の罪に問われているバス運行会社の社長らの裁判で、検察が禁錮5年を求刑しました。
【動画で見る】家族失い、涙ながらに苦しみ語る 大学生ら15人死亡の軽井沢町スキーバス事故 運行会社社長らに禁錮5年を求刑
事故直前のバスの映像(提供・国土交通省)
猛スピードで走る大型バス。2016年1月15日未明。都内から県内のスキー場に向かっていたスキーツアーのバスが軽井沢町で道路脇に転落。乗客の大学生ら15人が死亡しました。
事故後の会見で謝罪した高橋美作社長ら(2016年)
捜査の結果、バス運行会社「イーエスピー」の社長・高橋美作被告(61)と元社員で当時、運行管理者だった荒井強被告(54)が業務上過失致死傷の罪で起訴されました。
公判の最大の争点は「事故の予見可能性」。検察側は「事故を起こす可能性が予見できたのに、不慣れな運転手に必要な訓練を怠った」などと主張。
一方、被告側は「運転手の未熟さは当時、認識していなかった」などと無罪を主張していました。
10月11日の公判(長野地方裁判所)
意見陳述で遺族らは被告に「(亡くなった子どもに)似たような大学生くらいの子どもを見て涙することがありますか、子どもの夢を見て目覚めることがありますか」など、今も家族を失い苦しむ思いを涙ながらに語りました。
遺族会代表の田原義則さんは「知床遊覧船の事故などいい加減な管理体制で似た事故が絶えない、子どもたちの死を無駄にしないためにも二度とこのような事故が起きないような判決を下してほしい」、また、被告2人に対しては「一生償いの気持ちを持ち続けてほしい」などと話しました。
検察は「被告たちは運転手の技量を把握・確認する義務を怠った」とした上で、高橋被告には「事故に真摯に向き合っていない」、荒井被告には「安全への意識が欠如していた」と指摘しそれぞれに禁固5年を求刑しました。
遺族会代表・田原義則さん(公判後)
求刑後、遺族会代表の田原義則さんは…。
次男・寛さんを亡くした田原義則さん:
「遺族感情も酌んでいただいた求刑だったんじゃないのかなと思う、子どもたちの思いも。二度とあんなこと起こしてほしくないっていうその思いに応えるためには、実刑判決が絶対に必要だと思っていますので、求刑通りの判決を期待したい」
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