会員に教わり、ピンセットで巣から蜂の子を引き抜く子どもたち
伊那市手良公民館は23日、同市高遠町の国立信州高遠青少年自然の家で親子自然体験教室を開いた。手良地区の親子6組17人が伊那市地蜂愛好会の会員4人に教わり、地蜂(クロスズメバチ)を追って地中の巣を探す「蜂追い」を体験。巣から抜き取ったばかりの蜂の子を試食した。
昆虫食文化のある伊那谷で「すがれ追い」とも呼ばれる伝統的な巣の捕獲法を、教室で体験するのは2回目。悪天候のため、すがれ追いの体験は短時間に。会員が事前に見つけた巣を使い、調理を行った。
子どもたちは、会員が巣を掘り起こす様子を見学。直径約20センチ、10段の巣1個と小さな巣2個を採取した。ピンセットを手に巣穴から蜂の子を一つ一つ慎重に抜き取り、約760グラムの蜂の子を集めた。
手良小学校3年の男子児童は「巣から抜くとき、するっと抜けて気持ちよかった」と夢中で幼虫や成虫を取っていた。
会員は蜂の子をしょう油や砂糖などで甘辛く煮込み、みんなで試食。同会の普及指導員、有賀幸雄さん(69)=手良=は「10月5日の手良のお祭りには、蜂の子料理が振る舞われた」と手良での食文化を語った。
初めて蜂の子を食べた同校2年の男子児童は「しょう油の味で、幼虫がとろっとしていておいしい」と少しずつ味わった。
有賀さんは「(参加している子の)親世代は蜂追いをやる人が少なく、体験したことのある子どもも少ない。子どもたちが大きくなったときにこのことを思い出し、この文化を継承していってほしい」と話した。
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