高木さん(右)を訪れて着物作品の展示会での入賞を報告する村田さん
長野県茅野市内に別荘を持つ村田佳子さん(73)=東京都=が、手芸材料販売店経営の高木義一朗さん(74)=諏訪市清水=考案の諏訪地方に伝わる織物技法とパソコン機能を組み合わせた「八つ縄文織り」を用いて着物を作り、二つの全国規模の展示会で入賞した。報告で高木さんの店を訪ねた村田さんは「八つ縄文織りは奥が深い。その技法を余すことなく教えてくれた高木さんのおかげで受賞できた」と感謝した。
八つ縄文織りは、諏訪地方の農家の女性たちによって伝えられた「諏訪小倉織」を源流にした手織りの技法。パソコンの表計算ソフトを使うことで手織り柄の拡大・縮小を自在に変更でき、意図に沿った柄の表現を定めやすくする。従来の手法では、柄の大きさを確認するために試し織りが必要で、複雑なものだと、2日ほどかかることもあるというが、表計算ソフトを用いる八つ縄文織りだと、30分ほどで出来上がる柄が確認ができるという。
村田さんは4人の子どもを育てた後、染物作品の制作を始め、60歳で京都造形芸術大学通信教育部美術科染織コースに入学。研究を深めるため、大学院にまで進んだ。2014年に八つ縄文織りに出合い、高木さんの指導を受けながら技法を身に付けた。今年受賞したのは第45回日本染織作家展の「田畑喜八賞」と第44回日本新工芸展の「新工芸会友賞」。八つ縄文織りと沖縄の花織の技術を組み合わせ、海をイメージさせる青を基調とした着物作品を出品した。
村田さんの訪問を受けた高木さんは「村田さんの吸収力は本当に素晴らしいものがある。諏訪に残る伝統的な技法を絶やしたくない気持ちがあるので、分かってくれる人には手間を惜しまず伝えたい」と話していた。
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