2年ぶりの公演で「傾城阿波鳴門~順礼歌の段」を上演する中川人形保存会=中川文化センター
長野県中川村の中川人形保存会と村公民館は19日、第9回「中川人形浄瑠璃定期公演」を中川文化センターで開いた。演目は「三番叟」と「傾城阿波鳴門~順礼歌の段」を上演。会場に集まった約70人の観客を前に、保存会メンバーが日ごろの練習成果を披露した。
傾城阿波鳴門は、親を捜して順礼する娘と偶然出会った母親の話。娘に難が降り掛かるのを恐れ、母であることを打ち明けられずに葛藤する親心を描く。人形遣い、太夫、三味線が三位一体となった人情話の熱演に、会場からは惜しみない拍手が送られた。
保存会は2012年、約50年前に途絶えた村の人形芝居を再興しようと、村公民館講座を経て結成。現在17人が所属する。人形浄瑠璃の伝統を継承する国選択無形民俗文化財の今田人形座(飯田市)から講師を招き、村高齢者創作館で毎月1、2回の稽古に励む。定期公演は新型コロナの影響で、2年ぶりとなる。
開演あいさつで、保存会の下平達朗会長(73)は「会が発足して10年になる。振り返ると多くの人の支援、協力があったからこそ、今日があると感じる。感謝を胸に演じたい」と話した。
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