分杭峠のパワースポットといわれる「氣場」で休憩するカップル
長野県伊那市観光協会が、同市長谷の粟沢駐車場と国道152号分杭峠の間で2年ぶりに運行を再開したシャトルバスの利用が好調だ。4月16日から運行を始め、乗客数は1カ月後の5月15日に5000人を突破する勢い。峠は伊那谷を通る断層「中央構造線」上にあり、「氣」と呼ばれるエネルギーを放出するパワースポットとして注目される名所。地元では「再訪する人が増え、ブームではなく、定着した感がある」と最近の傾向を歓迎している。
同協会や乗車券を扱う売店の話によると、シャトルバスの運行は新型コロナウイルスの感染対策で昨年運休。一昨年は主に9~11月の3カ月間運行し、約1万2000人が利用した。今年5月の連休には1日850人の乗車を最高に連日800人台の乗車が続き、マイクロバス4台で対応したが「1時間待ちの混みようだった」(売店)という。
分杭峠は27年前、断層が押し合う力により磁場が相殺される「ゼロ磁場」(氣場)の存在を、電気通信大学の佐々木茂美名誉教授や中国の気功師が提唱。峠にある看板ではゼロ磁場を「エネルギーが集積されやすく(中略)人々の心身を活性化させ、力を与え元気にしてくれると考えられる」と紹介している。
2003年に民放のテレビ番組で分杭峠が紹介されると全国から「氣のパワー」を求める人が殺到。09年にもNHKが取り上げ、周辺道路が大混雑したことからシャトルバスの運行が始まった。以降テレビ番組で取り上げられるたび、再三のブームが到来。最近では私的に訪れたお笑いコンビ麒麟の川島明さんが、テレビ番組で話したことをきっかけに来訪者数が増えた。
個人差はあるものの、「氣場」で手をかざすと刺激を感じるケースも。粟沢駐車場近くで飲料水を販売する企業、プラーナ零磁場の木下護社長(52)によると、分杭峠を訪れる8~9割は県外者で、中には大病を経た男性が頻繁に訪れ、心身を癒やす光景もみられるという。
木下さんは「峠周辺はもともと緑濃く、空気や水がきれいなところ。そこにいるだけで気持ちが安らぐし、病は気からの言葉通り目に見えない力を感じられるという説が、多くの人を魅了するのでは」と話す。長年、峠近くで仕事をする木下さんも体調の変化を感じたことがあるという。
シャトルバス利用者は同市長谷市野瀬の粟沢駐車場(無料)へ車を止める。駐車場バス停の始発は午前8時、峠発の最終便は午後4時。随時運行。往復運賃は大人1000円、子ども500円。運行は11月20日まで。
問い合わせは市観光協会(電話0265・96・8100)へ。
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