「列島展」に貸し出すため、くびれが特長の双眼五重深鉢を業者のもとへ運ぶ小松隆史館長=13日、井戸尻考古館
長野県の富士見町井戸尻考古館が所蔵する縄文時代の土器など41点が、文化庁などの主催で6月11日に開幕する「発掘された日本列島2022」展(列島展)に出展される。埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市)を振り出しに、来年2月にかけて4県と北海道で開催される巡回展。長野県内からは唯一の出展という。
今回貸し出す41点には、町内の藤内遺跡から出土した縄文中期(約5500~4500年前)の区画文筒形土器、双眼五重深鉢=ともに町有形文化財=が含まれる。一昨年の列島展にも所蔵品が出展されたが、その際は茅野市、原村との3市町村の枠組みだったという。
13日は専門業者と美術品専用車両が来訪。1点ずつ状態を記録し、専用の箱に慎重に収めていった。15日にさいたま市に到着する予定だ。
列島展は7月30日から北海道伊達市に会場を移し、その後、宮城県石巻市、宮崎県宮崎市、奈良県天理市の博物館などで開催される。考古速報展の意味合いを持つが、井戸尻の所蔵品は「我がまちが誇る遺跡」の展示エリアに並べられる。
同エリアで紹介されるのは3企画のみで、「富士見町の遺跡保護、民間と連携した活用の取り組みが評価されたと思う」と小松隆史館長。「町や中部地方の縄文に目を向けてもらう、またとない機会になる」と話している。貸し出しの期間中、同館では普段出していない土器の展示を充実させる。
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