強化練習会で中高生を指導するマツェイチュクさん(右)
長野県フェンシング協会(会長・白鳥政徳箕輪町長)は24日、日本協会で選手の強化に貢献してきたウクライナ出身コーチ2人を支援するため、ロシア軍によるウクライナ侵攻に関係する救援金を「ウクライナ人コーチの家族を助ける会」へ寄付した。同日、県協会主催の強化練習会の講師として箕輪町を訪れているウクライナ人コーチの一人、オレグ・マツェイチュクさん(50)に白鳥町長が救援金2万円を手渡した。
同会は、ウクライナに残る2人の家族の国外脱出や生活再建に役立てようと、専用サイト上で寄付を募っている。元日本代表監督の江村宏二さん(61)=東京都=が発起人となって立ち上げた。支援の対象は、昨年まで約18年間フルーレ日本代表を指導したマツェイチュクさんと、昨夏の東京五輪で男子エペ団体の金メダル獲得に導いたオレクサンドル・ゴルバチュクさん。
強化練習会は、江村さんらを特別指導者に招き、県内の中高生選手らを対象に年2、3回開いている。その縁もあり、今回初めてマツェイチュクさんが練習会に参加した。マツェイチュクさんは2008年北京五輪で日本人初の銀メダルを獲得した太田雄貴さんや、東京五輪に出場した同町沢出身の西藤俊哉さんらを指導するなど、日本フェンシング界の躍進に貢献する。
現在、マツェイチュクさんは息子(25)と埼玉県に住んでいる。妻(50)と娘(12)、母(72)はウクライナにいて、妻と娘は南西部のルーマニア国境付近へ避難しているが、母は自宅のある首都キエフに残っているという。
練習会場を訪れた白鳥町長は「気持ちばかりだが受け取ってほしい。ご家族がこちらへ来られるよう願う」と救援金を手渡した。マツェイチュクさんは「お金ではない。一番大事なのは日本の皆さんの気持ち。このうれしい気持ちを忘れない」と感謝した。
強化練習会は、参加者全員が抗原検査を行うなど新型コロナウイルス感染対策を徹底し、23、24日に町民体育館で開いた。両日とも会場には募金箱が設置され、集まった救援金も同会へ寄付された。
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