「トマトの国」(長野県栄村)
長野県栄村を震度6強の揺れが襲った地震から、あす12日で11年です。地震の後、村では人口減少がさらに進みました。観光に希望を見出そうと住民は奮闘していますが、新型コロナが影を落としています。村の将来を模索する姿を追いました。
この冬、豊富な雪に恵まれた「さかえ倶楽部スキー場」。ただ、コロナの影響もあり利用者は少な目です。
村が運営するスキー場は年間1万5000人以上の利用が目標ですが、震災以降の10年で達成できたのは一度だけです。
利用者:
「体がぽかぽかに温まりますね。ほぼ毎日来ています」
スキー場近くの宿泊施設「トマトの国」は、住民の憩いの場でもあります。運営するのは住民たちでつくる「企業組合ぬくもり」。
2019年から指定管理者として黒字化を目指してきましたが…
企業組合ぬくもり・関谷聡 代表理事:
「水道、光熱費はペイにならない、真っ赤。お風呂に入り来てくれる方のためにも、休むわけにはいかないので続けています」
村民は…
村民:
「地震で自宅が被災して村営住宅に入って、1人暮らし。毎日来てるんです」
「村の人も常連さんがいつでも一緒だから、顔合うから。ずっとやっててもらいたいなとお願いします」
「(温泉好き?)だいすき!」
励みになるのがリピーター。埼玉県の矢作さん一家は、村の自然に魅せられ年に2、3回訪れています。
埼玉から通う常連・矢作充さん:
「夏は虫捕り、川遊びして、冬はスキー。ここに来ないと見られない生き物が多い。あと、皆さんの人柄もよくて」
息子:
「(栄村のどこが好き?)楽しくすべれるところ」
郷土料理の「いもなます」や山菜料理でもてなし―。
「ぬくもり」厨房担当・都丸俊幸さん:
「地元の料理目当てで来るお客さんもいますので、それだけは外さないようにしてます」
東京から3回目の宿泊:
「(栄村は)いい感じの日本の古い感じで、人がやっぱり優しいかな。今度は夏来たい」
アフターコロナを見据え今後は、里山ツアーやキャンプなどの事業も展開したいと考えています。
企業組合ぬくもり・関谷聡 代表理事:
「集客、お客さんをいかに持ってくるか考えなければ。若者がやっぱり少ないんです。栄村にその人たちが留まるにはどうしたらいいか考えていけば、村を存続していくためのものになるのでは」
震災後、一層進んだ人口減少。施設が村の活性化や移住へのきっかけになればと模索が続きます。
(スタジオ)
地震の記憶を風化させず、防災への意識を高めることが必要です。日頃から「日持ちが良い食料や飲料を蓄えておく」、「家族内で避難場所、経路、また安否確認の方法を決めておく」、「家具が転倒しないよう固定するなど工夫する」、いつ起きるか分からない災害に備えましょう。
長野放送[/MARKOVE]