長野県伊那市の乗合タクシー運行で利便性が向上する市営南アルプス林道バス=伊那市長谷(昨年7月)
長野県の伊那市は、新年度から同市を起点とする南アルプス登山の山岳観光の振興を目的とした山小屋や交通網、観光拠点施設などの総合的な整備に着手する。2022年度一般会計当初予算案に施設の購入や基本設計などの費用を盛り込んだ。白鳥孝市長は「できれば今季の登山や観光シーズンに間に合わせたい」と述べた。
市によると、対象は現在休業している南アの山小屋「仙丈ケ岳馬の背ヒュッテ」の購入をはじめ、長谷戸台口にある宿泊施設仙流荘を利用した観光拠点施設化、高遠町のJRバス高遠駅と市営南ア林道バス乗り場を結ぶ乗合タクシーの運行など。
馬の背ヒュッテに関する事業には8000万円を計上した。白鳥市長によると「購入は現在、所有者や家族と調整中」。取得が決まれば、ヒュッテ内を仕切るなど新型コロナウイルス感染対策を講じ、約50人が宿泊可能な山小屋として営業を再開する。
仙流荘周辺は、国が現在、施設南側を流れる黒川の流路直線化や市道の付け替え工事を実施。市は付近の市道と、付け替え工事に伴い新たに仙流荘南側に広がるスペースなどの整備を行う。仙流荘は情報発信拠点としても活用。22年度は内部改築の設計費約980万円を予算化した。
乗合タクシーの運行は、登山者の公共交通のみによる移動の要望に応えて実施。JRバス高遠駅と林道バス乗り場や分杭峠シャトルバス乗り場に接続する。白鳥市長は「整備により登山者の利便性向上や安全を確保したい」と述べた。
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