飼育施設への捜索(長野県松本市・2021年9月)
特集はあのニュースの今。長野県松本市の業者による犬の虐待事件です。多くの犬を衰弱させ、元社長の逮捕・起訴に至った今回の事件。なぜ防げなかったのか、元従業員や動物愛護団体を取材しました。
「一生、ケージの犬も」 劣悪な環境で飼育
ミニチュアダックスフントの「幸」
ミニチュアダックスフントの「幸(さち)」。虐待が明らかになった犬販売業者の施設から救い出され、保健所で保護した犬です。
動物愛護団体を通じて先月、里親の大堀さんのもとにやってきました。
里親になった大堀久美子さん
里親になった大堀久美子さん:
「漢字で『幸せ』と書いて『幸』。これからは幸せな『犬生』を送ってもらいたい意味を込めてつけました」
保護された時、「幸」は妊娠していました。逮捕された業者の元社長は獣医の免許がないにも関わらず、自ら帝王切開をして子犬を取り上げていました。
「幸」にも帝王切開の痕…
「幸」にも過去に受けたとみられる帝王切開の痕があったということです。
話:大堀久美子さん
里親になった大堀久美子さん:
「信じられない。変な言い方をすれば道具として扱いを受けた。これからはそういったことが起こらないので、今まで以上、何倍も、何十倍もかわいがって幸せに生きてもらいたい」
飼育施設への捜索(9月)
捜査員に抱えられて出てきた犬たち。毛が長く伸び、おびえた様子も伺えました。
2021年9月の家宅捜索は関係者の情報提供、告発に基づくもので保健所も立ち会いました。
市内2カ所の施設で犬900匹余りを飼育
市内2カ所の施設で飼育されていた犬は900匹余り。その後、劣悪な環境で飼育し虐待していたとして、元社長・百瀬耕二被告が逮捕・起訴されました。起訴状では469匹を衰弱させたとしています。
元社長・百瀬耕二被告(11月)
元社長・百瀬耕二被告:
「(犬に)ご飯をしっかりあげるということが精いっぱいで、手入れしてあげられなかったので、本当にかわいそうなことしちゃった」
逮捕前に取材に応じた元社長は、2019年頃から人手が犬の数に追い付かず世話が不十分になっていたと認めました。
飼育基準を厳しくした2021年6月の法改正を前に従業員を確保しようと「犬を増やし、収益を上げたかった」という趣旨の説明もしました。
元社長・百瀬耕二被告:
「経営でお金回してかなきゃいけない、新しい犬舎建てなきゃいけないことで突き進んだ。なぜ逆に頭数を減らす方に自分の考えを持っていかなかったのか、今、考えれば(規模を)小さくすればと後悔している」
資金繰りのために繰り返された繁殖。ある関係者も、業者が毎週のように犬をオークションに出品していたと話します。
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