動画配信のため小林まり子さん(左)が作製した土器。神像筒形土器と「うり二つ」(井戸尻考古館)という土器が炎に包まれた
長野県富士見町の縄文文化と井戸尻考古館を盛り立てる住民有志の「井戸尻応援団」は、町を代表する縄文土器「神像筒形土器」をモデルに、動画配信のための土器づくりを進めた。町内の土器づくりサークル「ほのおの会」の講師を務める小林まり子さん=烏帽子=が復元。映像分野で活躍する鈴木慶さん=信濃境=が計14日間に及んだ作業をカメラに納めた。28日の野焼きで収録を終え、完成次第、動画配信サイトなどで公開する。
参加者を募っての土器づくりや野焼きの教室ができない中、「コロナ禍でも井戸尻のファンを増やしたい」と動画配信を計画した。県労働金庫の助成事業を活用し、これまでに鈴木さんが撮影・編集した井戸尻史跡公園の大賀ハスの動画も配信した。
抱きつくように作りこまれた人型の像や、複雑な文様など優れた造形を持っている神像筒形土器=重要文化財=を選んだ。赤みの強い土を胎土とし、10月上旬から小林さんが成形や模様付けなどを進めた。野焼きでの収縮を計算して作製。鈴木さんがあらゆる角度から撮影し、応援団と同館がサポートした。
野焼きは同公園内の一角で行った。遠方から見物に訪れた人もおり、小林さんの解説を聞きながら、炎に包まれる土器と神秘的な光景を眺めていた。「12時間以上の動画になった。これからの作業が大変ですが、一つ一つゆっくり出来上がっていく過程を見せたい」と鈴木さん。3月に両手を手術したという小林さんは「握力が戻らない中での作業でしたが、多くの支えできょうを迎えることができました」と感謝していた。
[/MARKOVE]