9月15日の奉納に向けて相撲踊りの練習を重ねる力士たち
諏訪市中洲の神宮寺区が受け継ぐ県指定無形民俗文化財の諏訪大社上社十五夜祭奉納相撲は15日、上社本宮の斎庭で相撲踊りの奉納神事を行う。青年力士11人の全体練習は8月30日夜から神宮寺公民館で始まり、歴代の大関経験者らから指導を受けながら、所作や独特な節回しの相撲甚句を確認した。
新型コロナウイルスの感染拡大により、本宮境内の土俵で行われる十五夜祭相撲大会は今年も中止となり、奉納相撲のみが行われる。今年、大関を務めるのは金子仁志さん(38)で力士としては13回目と経験豊富。岡谷市から同区内に引っ越してきた牛山和哉さん(37)が新たに加わった。22歳から41歳までの力士たちが金子さんの下、一致団結して奉納に臨む。
練習初日は、ところどころにぎこちないところもあり、大関経験者らの指導や金子さんのアドバイスを受けながら練習を重ねていた。甚句の歌が途中で止まってしまうこともあったが、経験者らがフォローしながら協力して理解を深めていた。
諏訪大社の創立縁起などが書かれた室町時代の「諏方大明神画詞」では、相撲に関する記述があり、諏訪大社の神事には古くから相撲が欠かせないものだったことをうかがわせる。奉納相撲は1977年に市無形民俗文化財、2008年に県無形民俗文化財に指定された。力士たちが円になって奉納する相撲踊りの中で披露される「胸たたき」は、相撲の基本である守りと攻めを表現しており、現存する相撲踊りの中で伝承されているのは十五夜祭奉納相撲だけとされている。
大関経験者でつくる大関会の笠原和仁さん(48)は「力士たちには立派な奉納に向けて一致協力し、大関を盛り立てながら頑張ってほしい」と期待を寄せた。金子さんは「万が一、新型コロナウイルスに感染してしまったら、奉納が大変厳しいものになる。まずは、感染しないよう十分に気を付けた生活を送りながら練習に励みたい。力士の気持ちを一つにして奉納に臨みたい」と話していた。
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