4年ぶりのバスミーティングで釣り上げられたブラックバス=箕輪町十沢橋付近
天竜川漁協(長野県伊那市)は28日、ブラックバスを釣って駆除する9回目の「バスミーティング」を辰野町、箕輪町、南箕輪村にかけての天竜川で開いた。コロナ禍を経て4年ぶりの開催で、県内の太公望57人が参加。在来魚や伊那谷伝統の昆虫食「ザザムシ」に用いる水生昆虫などを食べ、生態系を脅かす外来魚を少しでも減らそうと取り組み、計82匹の総重量24.5キロを釣り上げた。
コクチバスとオオクチバスの総称でもある北米原産のブラックバスは、2000年代から天竜川で釣れるようになり、現在では伊那谷全域の天竜川に分布しているという。
諏訪湖や周辺のダム湖などに繁殖するオオクチバスとは違い、天竜川で広がったのは寒さにも流れにも強いコクチバス。増えた原因は密放流があったのか、ほかの魚の放流に混じっていたのか定かではなく、その数もどれだけいるのか分からないという。
漁協では支部ごとに駆除するほか、組合員や一般から持ち込まれる魚の買い取りも実施。バスミーティングも12年から開いてきた。投網を打つと、捕獲する魚の大半をコクチバスが占めることも。多い年には年間1トン近い量を駆除している。
参加者はルアーや餌釣りでコクチバスを狙い、塩尻市の塩野崎慎さん(31)は48センチの大物を捕獲。1人で26匹も釣り上げた人もいた。松本市から息子(9)と訪れた中條夏海さん(38)は「この川に本来はいない魚。在来種への影響も考えられ、減らせるものは減らせるよう協力できたら」と話した。
「繁殖が続くことによってアユやウグイ、ザザムシなどに影響があることは確か」と伊藤伸一組合長。「みんなに啓発して、今後も地道にやっていくしかない」と訴えた。
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