施設で飼育されていた犬
獣医師の資格を持たないのに麻酔なしで帝王切開したなどとして動物愛護法違反などの罪に問われている元販売業者社長の第3回公判が4月14日、長野地方裁判所松本支部で開かれた。証人として元従業員が出廷し、検察側の質問に「帝王切開の時、麻酔はしていなかった」と証言した。
■無免許で麻酔なしに犬5匹を帝王切開 「殺傷罪」などに問われる
施設を家宅捜索(長野県松本市 2021年9月)
劣悪な環境で多くの犬を飼育し虐待したとして、動物愛護法違反(殺傷、虐待)の罪などに問われている松本市の元犬販売業者社長・百瀬耕二被告(62)。
起訴状によると、被告は獣医師の資格をもたないのに2021年8月、松本市の自宅(当時)で、フレンチブルドッグ4匹とパグ1匹の計5匹を麻酔をせずに帝王切開しみだりに傷つけたとされているほか、2020年4月から12月にはシーズー犬8匹に狂犬病の予防接種を受けさせなかったとされている。
■検察の質問に元従業員「帝王切開の時、麻酔していなかった」
施設で飼育されていた犬
14日の公判で検察側の証人として出廷したのは、2021年2月から10月末まで被告のもとで働いていた女性。
女性は松本市寿の犬舎で主に子犬の世話や妊娠した犬の体温チェックを担当していた。
女性は検察官に「帝王切開に何度立ち会ったことがあるか」と問われると、「10回から20回ほど立ち会ったことがある」と答えた。
施設を家宅捜索(長野県松本市 2021年9月)
女性は初めて帝王切開に立ち会った時の様子を次のように説明した。
被告はケージの上にヒーターを置き、新聞紙を敷いた。被告が犬を抑え、女性がケージにビニールひもで犬の四肢を縛ると、被告はメスで犬のおなかを切り始めた。
女性は「麻酔はしないのか」と被告に問うと、「昔は麻酔をしていたが麻酔の管理が難しく、犬が麻酔で死んだこともあり、なるべく死なないように麻酔をしないと決めた」と話した。
手術中、犬は普段の鳴き声とは違うかすれたような振り絞るような声で鳴いていたという。
検察官が「麻酔を使用したのを見たことがあるか」と問うと、女性は「帝王切開の時、麻酔はしていなかった」と答えた。検察官は何度か同じような趣旨の質問をしたが、女性は終始、「麻酔を使っていなかった」という旨の回答だった。
[/MARKOVE]